【はじめての婦人科】「ひどい生理痛」での検査費用はいくら? 何するの?
女性特有のトラブルで強い味方となってくれる、婦人科。「いくらかかるの?」「どんな検査をするの?」など受診前には気になるものですよね。そこでこの記事では、悩み別の検査内容と料金をリサーチ! 今回は「ひどい生理痛」ではじめて受診を決めたCさんを例に紹介します。
※本記事で紹介する検査内容は、産婦人科医監修のもと「ひどい生理痛」で想定される初診での検査についてです。医療機関によっては、記載した内容に追加・変更がある場合もあります。また、各料金はsai+journal調べによる参考金額を提示しています。再診や処方の詳細な金額については、受診予定の各医療機関に問い合わせてください。
Cさんのプロフィール
31才。出産、婦人科受診の経験なし。ここ数年、生理痛が以前に比べてひどくなってきていたが、仕事が忙しく不規則な生活を送っているのが原因だろうと市販の鎮痛剤を服用して治めていた。しかし、前回の生理で鎮痛剤が効かないほどの痛みを経験して、婦人科受診を決めた。パートナーがいて、将来妊娠も希望している。
「ひどい生理痛」で必要な検査と金額
生理痛がひどくなってきたのは、いつ頃からですか?
はっきりとは覚えてないのですが、3年くらい前からだと思います。それまでは生理痛も鎮痛剤を服用すれば気にならない程度でした。最近は、薬を服用しても痛みがひどくて……。
生理周期は、毎月正常ですか?
基本的には30日前後の周期です。ただ、生活が不規則なせいか、年に数回程度、周期が1週間ほど早まったりすることがあります。
生理痛以外に、経血にレバーのようなかたまりが混じっていた、ということはありませんか?
覚えている限りは、ありません。
ありがとうございます。では、検査で原因をさぐっていきましょう!
「ひどい生理痛」での初診では、一般的に下記の検査や項目が必要とされています。保険適用なので、多く見積もって3,500円程度あれば安心です。
検査名/項目 | 目安金額(保険適用の自己負担分) |
初診料 | 約800〜1,000円 |
内診 | 診察料に包含される |
経腟(けいちつ)超音波検査 | 約1,500円〜2,500円 |
内診:目で見て診察すること(視診)、実際に指で触れて診察すること(触診)の2つの診察をあわせて「内診」といいます。視診では、まず外陰部にできものや炎症所見がないかを確認します。その後、クスコという専用器具を腟口から挿入し、腟壁、子宮頸部(子宮の入口)、分泌液(おりもの)に異常がないか確認します。触診では、実際に指を腟口から挿入し、子宮や卵巣のサイズ・可動性・痛みなどを確認することで、炎症等が起きていないかを診断します。この内診の際、経腟超音波検査などの検査をあわせて行うことがあります。
経腟超音波(経腟エコー)検査:子宮や卵巣に問題がないかを超音波検査で確認します。腟の中に細長いエコーの機械(プローブ)を挿入し、子宮や卵巣などを超音波で観察します。
【当日の服装チェック】
内診・超音波検査は内診台で行うため、次のような服装が◎
✔着脱が不要なスカート
✔脱ぎやすい靴
超音波検査の結果、「子宮腺筋症(腺筋症)」が疑われます。
子宮腺筋症……どんな病気なんですか?
本来は子宮の内側にあるはずの子宮内膜という組織が、子宮の“筋肉”の中に入り込んでしまうことで発生する良性の腫瘍(しゅよう)のことです。Cさんの場合は、まだサイズが小さいので、現時点では過剰に心配する必要はありません。ただ、これが大きくなっていくと生理中以外でも痛みが出たり、生理の量が増えて貧血になったりなど、体に不調が出てくる場合もあります。
え……怖いです! 悪化する前に手術を受ける必要はありますか?
まだ大きさも小さいので、手術までは必要ないでしょう。ただし、まれに悪性腫瘍の場合もあるので、念のためMRI検査で詳しく見る必要があります。将来妊娠を希望されているとのことですが、近々ご予定はありますか?
いいえ、まだ具体的には考えていないです。
では、低用量ピルを服用しながら、サイズが大きくなっていかないか定期的に経過観察をしていきましょう。子宮腺筋症は女性ホルモンに依存して進展してしまうので、低用量ピルで女性ホルモンを抑制することが大切です。
ピルの服用で、生理痛も改善されますか?
生理痛も軽減が期待できます。ただ、ピルは人によってはひどい副作用が出てしまうなど体に合わない場合もあります。まずは一定期間服用してみて、どうしても体に合わないときは婦人科に相談に来てください。一緒にベストな方法を見つけましょう。体に合うようだったらそのまま服用を続けて、子宮腺筋症の経過を見るためにも、半年から1年に一度は婦人科を受診してくださいね。
鎮痛剤でも治まらない生理痛は、すぐに受診を
今回のCさんの診察結果である「子宮腺筋症」は、40歳代の女性に多く見られ、女性の20〜30%が罹患(りかん)するというデータがあります。ただし、子宮腺筋症の正確な発生メカニズムは明らかとなっておらず、予防できるものではありません。Cさんのように「生理痛がひどくなった」という以外にも「月経量が増えた」「月経にレバーのような血の塊がある」などの症状がある場合も「子宮腺筋症」の可能性があるので、すぐに婦人科を受診しましょう。また、日常生活がままならない、鎮痛剤の服用でも治まらない、というほどの生理痛は、子宮腺筋症に限らず、なにかの病気が隠れている可能性が高いです。我慢せずに、産婦人科医に相談することが大切です!
- 監修医師
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山田光泰先生産婦人科専門医。大学病院等で不妊治療を中心とした最先端の医療に従事しつつ、厚生労働医系技官として母子保健施策の推進にも携わってきた。現在は、女性のライフステージに応じたウェルネス向上をサポートすべく、テクノロジーを活用した課題解決にも取り組む。
※生理痛などの症状は、低用量ピルを服用することによって改善が期待されますが、効果・副作用のあらわれ方には個人差があります。また、まれに副作用が起きる場合もあります。医師の診察をうけ、指示された適切な服用方法をお守りください。