【連載】私がピルを始めた理由「ネガティブ思考な人間だと思っていた」〜 テルさんの場合〜

生理痛、PMS、避妊目的など、ピルを飲み始めるきっかけは人それぞれ。「興味はあるけど、相談できる人がいないし不安……」。そんな読者の皆さんに、実際に低用量ピルを服用している(していた)人のリアルな体験談を紹介します。どんな理由ではじめたの? 副作用は? どう変わった? など、気になる疑問をぶつけてみました!

テルさんのプロフィール
東京都在住の会社員、37歳。27歳から低用量ピルの服用をはじめ、妊活のために一時服用を停止。その後、32歳で服用を再開。現在服用中のピルは「マーベロン」。

自分はネガティブ思考な人間なんだと思っていた

落ち込む女性

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編集部

PMS(月経前症候群)のうち、特に精神的症状がひどい、PMDD(月経前不快気分障害)だったんですね?

「はい。学生のころは生理になると学校を休んでしまうほど、生理痛と過多月経に悩まされていました。生理になるとベッドから出られず、社会人になっても生理痛のせいで仕事もままならないことが多かったです。また、低用量ピルを服用した今だから思うことですが、思春期からPMDDがひどかったですね。月の半分以上はイライラしたりネガティブなことを考えてしまっていて周りにあたってしまうこともありました。『私はネガティブ思考な人間なんだ』と自己嫌悪になることも多かったです」

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編集部

まわりの友人に相談することはなかったんですか?

「自分の感情や悩みを打ち明けるのが苦手なタイプだということもあって、友人たちにも生理の悩みを相談することを躊躇(ちゅうちょ)していました。当時は今のように生理についての情報がネットやSNSにはあまりなかったのも理由です。『まわりの女性も、私と同じように生理に苦しんでるんだろうな』と思っていたので、自分だけが辛いなんて思ってもいませんでした。なんでこんなに辛い思いをしなきゃいけないんだ、って女性に生まれたことを後悔していたほどでした

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編集部

辛かったですね……。悩んでいる中で、ピルを服用しようと思ったきっかけは何だったんでしょう?

「20代後半、たまたま友人と3人で世間話をしているうちに、その場にいたどちらの友人も低用量ピルを服用していることがわかったんです。勇気をだして詳しく聞いてみたら、私自身がずっと悩んでいた生理の悩みも、ピルのおかげで友人たちは解決した、と実体験を詳しく話してくれました。ピルにはメリットしかない!と強くおすすめされて、試すことにしました」

低用量ピルの服用が、ライフイベントを考え直すきっかけに

解放的な女性

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編集部

実際に低用量ピルを服用するようになって、どう変わりましたか?

「動けなくなるほどの生理痛や過多月経が解決されただけでなく、肌荒れ、PMDDも解消されました! 特にPMDDの解消が大きくて、『本来の私ってこんなだったんだ〜』と思えるくらいに、性格が明るく前向きになりました。今までのネガティブ思考が女性ホルモンの乱れによるものだったんだ、と気づいた瞬間でしたね。やりたいことは何でもやってみよう!とフットワーク軽く、何にでも挑戦するようになりました」

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編集部

それは劇的な瞬間ですね…! 肌荒れが解決された、というのも大きいのでは?

「そうですね、肌荒れも精神的ダメージが大きかったので助かりました。もともとピルのイメージは『避妊効果』と『生理日移動』くらいしかなかったので、友人にピルは生理の悩みだけでなく肌荒れにも効果があるよ、と教えてもらったときは驚きました。初めは生理周りの悩みだけを医師に伝えていたので『トリキュラー』を処方されたんですが、『マーベロン』の方が肌荒れにも効果があるとわかって、再度医師に相談して変えてもらったんです。幸い、私の場合はどちらも副作用がなかったので、今は『マーベロン』で落ち着いています」

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編集部

ピルを服用する上で、悩んでいる方にアドバイスなどはありますか?

「私は、低用量ピルを服用するようになって見える世界が変わったんです! 前向きになったからこそ仕事の環境を変えてみよう、結婚や妊娠について改めて考えてみよう、というきっかけにもなりました。生理、PMS、PMDDの影響でネガティブ思考になっている人や、生活が制限されてしまっていると思う人には、一度低用量ピルを試してみてほしいです。

ただ、月に2,000〜3,000円の出費はあるので、そこがまだネックになる人も多いかと思います。生理に振り回される時間や精神的苦痛と出費を天びんにかけて、自分の中で納得する選択をしてほしいですね。日本でも低用量ピルがもっと一般化すれば海外のように手を出しやすい金額になるのでは……と期待しているので、低用量ピルの有効性がもっと日本でも広まって欲しいな、と思います」

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編集部

ありがとうございました!

産婦人科医コメント
山田光泰先生
山田光泰先生
PMDDがひどい場合、感情の高まりを自己収拾できず、やむを得ず周囲にぶつけてしまう人もいます。それにより仕事や人間関係に支障をきたす場合もあるので、テルさんもとても辛い状況だったのではないでしょうか。生理前の3〜10日前になると極端にネガティブ思考になる、不安感やイライラで何事にも集中できなくなる、という方は、ご本人の性格云々ではなくPMDDによるものかもしれません。低用量ピルを服用することで解決できる可能性がありますので、一度産婦人科で相談することをおすすめします。

※PMS・生理痛・月経不順などの症状は低用量ピルを服用することによって改善が期待されますが、効果・効能・副作用のあらわれ方には個人差があります。また、まれに副作用が起きる場合もあります。医師の診察をうけ、指示された適切な服用方法をお守りください。

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