セックスでイケなくなるって本当？セルフプレジャーのウソ・ホントを女医が解説します

セルフプレジャーではオルガスム（オーガズム）を感じられるのに、セックスでは感じられないという女性は多いと思いますが、これはセルフプレジャーをすることでセックスで感じられなくなっている訳ではなく、セルフプレジャーとセックスのやり方が違うことが原因です。

その通り！セルフプレジャーで感じることができているのであれば、触り方や刺激の強さ、シチュエーション（トイを使ってみたり、妄想をしてみたり…）など、セックスでも同じような状況に近づけて試してみるとよいでしょう。

そうそう。自分が気持ち良いと感じる場所を相手と共有する、これがとっても大切です。

セックスの相手は信頼できる関係のパートナーであることが前提。言葉で伝える方が分かりやすいですし、理想ではありますが、やはり普通の会話とは違って伝えるのが難しいということもありますよね。

そんなときは、例えば男性に陰部を触られてる時に、自分で「ここが気持ちいい」というところが分かっていれば、自分で体を動かして、男性の手が気持ちいいと感じる箇所に当たるようにコントロールしてみてもよいと思います。嘘や演技はよくないですが、気持ちいいと感じたときは、相手にわかるように少し大げさに反応してあげるようにしましょう。

はい。実際に、適度にセルフプレジャーを楽しんでいる女性の方が、オルガスムに達しやすかったり、セックスの満足度が上がるという報告もあります。

こうしたケースはとくに男性で多いようです。女性の性感帯（とくにクリトリス）は強い刺激よりはソフトな刺激に対してより感じやすいのでこうしたことは少ないかと思います。もちろん現実には不可能な過激な妄想をしないとオルガスムを得られないという場合はあるかも知れませんが、これも工夫次第かと思います。男性の場合は強い刺激でのオルガスムが習慣になってしまうと、腟内で射精ができなくなってしまうこともありますので、少し注意が必要です。

セルフプレジャーには性的快感だけでなく、リラックス効果を期待することができます。

まず、触れるだけでもセロトニンなどのリラックスを促す神経伝達物質の血中濃度が上がります。さらに、ゆっくりした優しい愛撫は直接脳の感情に関わる領域に作用し、気持ちを落ち着かせ、安心感を抱かせてくれるんです。

オルガスムに達すると、オキシトシンなどのホルモンが放出されます。オキシトシンは幸福感をもたらしてストレスを軽減しますし、体温を上昇させたり緊張を緩和することでリラックス効果を得ることができます。また、オキシトシンはプロラクチンの分泌も促進することで、眠気をもたらします。

はい。オルガスムによる急激でダイナミックな神経系の活性化、血流の増加、筋肉の収縮は、その後の消退期（オルガスムの後の急速に興奮が消退する期間）の急速な副交感神経系（リラックス系）の活性化と、心身の沈静化を伴います。

また、オルガスムに達すると、エンドルフィンという鎮痛作用のある神経伝達物質の血中濃度が上昇します。エンドルフィンはモルヒネの6.5倍の鎮痛作用がありますが、実は安心感とも関わっているようです。マッサージや優しい愛撫だけでも、痛みが緩和されるという報告もあります。

子宮を支える骨盤内には筋肉と血流と神経がわさーっとたくさん集まっています。性的刺激に反応し、オルガスムを得ることで、骨盤内は血液が集まり充血して、筋肉は収縮、痙攣し、神経系は興奮状態になり活性化します。

血流を良くすることが体にいいというのはみなさんご存知の通りだと思います。自律神経系を刺激して副交感神経（リラックスする）を興奮状態にして、ふわっと開放されるので、血流としても神経系としても、体にいいんです。

もちろんそれだけで不眠が解消される！とは言い切れないので、日中は適度に運動をしたり、寝る前は夜更かしをせずPCやスマホを控えめにするなど、生活リズム自体を整えるように心がけてくださいね。

これは根拠のない迷信ですね。

全部、迷信です！

そうですね、特にありません。やる、やらないも含めて、やり方（不衛生・性器を傷つけるような行為はNG）や頻度は自由です。先ほどお伝えした通り、リラックスできる効果もあるので、嫌でない方は好きな頻度で楽しむことをおすすめしています。

ちなみに、マスターベーションをしたほうが健康にいいという根拠はありませんが、男女ともにオルガスムに達する頻度が高いほうが生活習慣病や心血管系疾患、がんなどの悪性腫瘍に罹患するリスクが低くなるようです。

いいえ。むしろ、神経質に洗いすぎると腟に雑菌が侵入してしまったり、腟内の常在菌まで洗い流されてしまい、自浄作用を弱めてしまうことも。気になる人は、シャワーで陰部を軽く流したり、デリケートゾーンにも使えるウェットシートなどでケアしてくださいね。セックスのときもそうですが、行為前にシャワーで外陰部を清潔にしたり、腟内に不潔なものを入れないことの方が大切です。