妊娠中のセックスはいつまでOK?性感染症のリスクや赤ちゃんへの影響は?

妊娠中のセックス(性行為)について、どうすればいいのか悩んでいる人は少なくないのではないでしょうか。「夫が避妊をしてくれない」「お腹の中の子どもに影響が出ないか心配」など、色々な悩みや不安はあるものの、人には聞きづらいですよね。今回は、そんな妊娠中のセックスについて詳しく解説します。
- 教えてくれたのは…
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山田光泰先生産婦人科専門医。大学病院等で不妊治療を中心とした最先端の医療に従事しつつ、厚生労働医系技官として母子保健施策の推進にも携わってきた。現在は、女性のライフステージに応じたウェルネス向上をサポートすべく、テクノロジーを活用した課題解決にも取り組む。
そもそも、妊娠中にセックスしていいの?
医学的に明確に禁止はされていませんが、基本的には、妊娠中のセックスは避けたほうが無難です。特に妊娠初期にはつわりの症状が出たり、妊娠後期からはお腹が膨らんで苦しくなるなど、さまざまな体の変化がつきまといます。こうした状況の中での性行為は、妊婦や赤ちゃんに対してさまざまなリスクを生む可能性があるのです。
しかし、妊娠期間はおよそ10ヶ月と長く、その間ずっと性行為を我慢するのは辛いと感じる人もいるでしょう。我慢してストレスになったり、夫婦関係にヒビが入ってしまってはよくないですし、お互いに求め合う気持ちがあるのであれば、絶対にしてはいけないというものでもありません。
何よりも大切なのは、妊婦と赤ちゃんの安全を優先すること。妊娠中のセックスは普段と比べて気をつけなければいけないことがたくさんあるので、しっかりと理解しておきましょう。
妊娠初期のセックスで考えられるリスク
妊娠初期とは、妊娠4ヶ月までを指します。妊娠初期のセックスが赤ちゃんに悪影響を与えるという明確な根拠はありませんが、頭痛や吐き気、眠気などのつわりの症状により、セックスどころではないという人も少なくないでしょう。また、体位や行為の強さによっては、子宮への物理的刺激により、出血やお腹の張りの原因になる可能性もあるので注意が必要です。
妊娠中期(安定期)にセックスで考えられるリスク
安定期ならいつも通りにセックスしてもいいのでしょうか。答えはNOです。例えば、体調への影響、性病の感染、赤ちゃんへの影響の可能性など、リスクがゼロというわけではありません。ただし、パートナーとのコミュニケーションも大切。安定期にセックスを行いたいという場合は、以下のことに注意してみてください。
妊娠中期のセックスで気をつけたいポイント
1.コンドームの装着は必須!
まず、コンドームは必ず装着してください。妊娠中は抵抗力が落ちているため、普段よりも性感染症になるリスクが高まります。万が一子宮内にまで感染が波及すると、早産になってしまうリスクも。手や爪を清潔にし、性行為前にはシャワーを浴びるようにしましょう。また、精液の中に含まれるプロスタグランジンという成分が、子宮収縮を起こしてしまう可能性も指摘されています。2.なるべくお腹に負担のかからない体位を心がける
体位にも注意が必要です。深い挿入や腹部の圧迫は身体に負担がかかり、お腹の張りや出血につながってしまいます。腹部が圧迫されるような体位は避け、深く挿入しないようにしてください。妊婦が負担にならず、心地よいと感じる体位を探してみましょう。3.オーラルセックスの際もできればコンドームを
オーラルセックスももちろん性感染症のリスクとなります。特定のパートナー間で行うオーラルセックスの場合は問題ないことが多いですが、妊娠中は非妊娠時に比べて感染症にかかりやすくなるため、オーラルセックスに関してもできればコンドームを使用することをおすすめします。4.乳首を刺激するのは避けよう
妊娠中は、乳首(乳頭)は普段より敏感な状態になっており、痛みを感じやすくなります。また、乳首を触ることで子宮収縮を引き起こし、お腹の張りの原因になることも。妊娠中は乳首への刺激は控えめにしておきましょう。安定期でもセックスをしてはいけないケースは?
安定期と呼ばれる妊娠中期(妊娠5〜7ヶ月)でも、以下に当てはまる場合はセックスを避けたほうが良いでしょう。
・つわりがあるとき
・体調があまりよくないとき
・お腹が張っているとき
・不正出血があるとき
・多胎(双子や三つ子の妊娠)の場合
・胎盤位置の異常(低置胎盤や前置胎盤など)がある場合
・医師から安静を指示されている場合特にお腹が張りやすいという人は安定期でもセックスはなるべく控えてください。セックスをすることによってさらにお腹が張りやすくなり、最悪の場合、切迫早産を引き起こしてしまう可能性があります。また、セックスをしている最中に気分が悪くなったり、お腹の張りや出血が見られた場合には、直ちに行為を中止してください。
妊娠後期のセックスで考えられるリスク
妊娠後期とは、妊娠8〜10ヶ月までを指します。妊娠後期になると分娩に備えて子宮口や腟が柔らかくなってくるため、妊娠の経過が順調な人でもセックスで出血しやすくなったり、前期破水や早産につながる危険性も考えられます。また、お腹が大きくなることで胃や肺が圧迫されて苦しくなり、セックスを不快に感じる人もいます。妊娠中期と同じく、絶対にダメなわけではありませんが、妊娠後期もセックスは控えておいたほうが良いと言えるでしょう。
妊娠中の性行為については夫婦でよく話し合いましょう
妊娠中のセックスについてはなるべく控えたほうが安心です。セックス以外でも、キスやハグをしたり、思いやりのある行動で愛情を深めることが大切。パートナーとよく話し合い、楽しい夫婦生活を送ってください。