【30代】知っておきたい。私が受けるべき婦人科検診って?

婦人科疾患の多くは、その罹患リスクが特に30代以降からグッと高まります。病気の早期発見・早期治療のためにも、30代からは定期的な検査が大切です。そこで今回は、女性が定期的に受けておくべき、婦人科疾患に関わる検査内容とその頻度について紹介します。会社の健康診断や人間ドックに追加できる検査もあるので、ぜひ参考にしてみてください。

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山田先生

婦人科疾患のなかでも、例えば子宮頸がんは進行が遅く、早期治療によって根治が見込める疾患です。「気になる症状もないし、健康だから大丈夫」と甘く考えず、定期的に検診を受けるのが安心です。

監修医師
山田光泰先生
山田光泰先生
日本産科婦人科学会認定、産婦人科専門医。大学病院等で不妊治療を中心とした最先端の医療に従事しつつ、厚生労働医系技官として母子保健施策の推進にも携わってきた。現在は、女性のライフステージに応じたウェルネス向上をサポートすべく、テクノロジーを活用した課題解決にも取り組む。

30代、子宮頸がん検診を受けているのは「2人に1人」

さまざまな婦人科疾患のなかでも、検診などでよく目にするのが“子宮頸がん”。子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染によって生じる病気で、HPVには性交渉の経験があれば誰でも感染する可能性があります。

子宮頸がんは、毎年約1万人の女性がかかっています。早期はほとんど自覚症状がないため、20歳を超えたら定期的な検診が奨められている疾患の一つです。しかしながら、2019年の国民生活基礎調査によると、過去2年の30代の子宮頸がん検診受診率は51.4%と半数程度です。

【年代別】婦人科疾患の罹患リスク

女性ならではの気をつけたい病気は、子宮頸がんだけではありません。婦人科疾患に代表されるものには以下の6つ。それぞれの疾患によってリスクが高まる年齢も異なります。

  • 子宮頸がん
    20~40代、ピークは30歳代後半
  • 子宮筋腫
    30~50代が多く、小さなものも含めると30歳以上の女性の5人に1人は持っている
  • 子宮内膜症
    20~30代の女性で発症することが多く、ピークは30~34歳
  • 卵巣がん(上皮性卵巣がん)
    卵巣がんの90%を占める「上皮性卵巣がん」にかかりやすいのは40~60歳代
  • 子宮体がん
    40歳代後半から増加して50歳代から60歳代にピークを迎え、その後減少
  • 乳がん
    30歳代から増えはじめ、発症のピークは40歳代~50歳代。最近では他の年代も増加傾向にあり、日本女性の13人に1人が一生に一度は乳がんになるといわれている

 

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山田先生

表からもわかるように、20代後半~30代は婦人科疾患のリスクが高まる時期です。だからこそ、30代になったら、意識して自ら検診を受けに行くことが大切です。また、卵巣がんの一部や乳がんには遺伝が関係しているほか、飲酒や喫煙、肥満などの生活習慣ががんのリスクを増加させることもあります。

 

婦人科疾患が分かるさまざまな検査。いつ、どのくらいの頻度で受けたらいいの?

これまで挙げてきた婦人科疾患を早期発見するためには、どんな検査を受ける必要があるのでしょうか。ここからは、婦人科で行われているそれぞれの検査項目、診断できる病気、推奨される検査頻度について紹介します。

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山田先生

推奨される検査頻度は表の通りですが、不正出血やひどい生理痛、経血量の異常などの気になる症状があったら、婦人科を受診して医師に相談することをおすすめします。

一度に検査できる『婦人科検診』がおすすめ

それぞれの検査は基本的には婦人科のある医療機関で受けることが可能です。医療機関では、上記で紹介している検査を含め女性に必要な検査がまとめてできる「婦人科検診」を行っています。卵巣がんや子宮筋腫、子宮内膜症などの初期の自覚症状を感じにくい病気を早期に見つけるためにも、年に一度はこの婦人科検診を受けることをおすすめします。

各医療機関によって婦人科検診の内容はさまざま。受けたい検査項目(機器・設備)の用意がない場合もあるので、予約する際には検診の内容や受けたい検査項目が揃っているかどうかを忘れずに確認してくださいね。また、検査の中には企業の健康診断や人間ドックに追加できるものも。機会があるときはぜひ一緒に受けてみましょう。

「まだ大丈夫」は禁物。30代は定期的な婦人科検診が必要

婦人科疾患の中には、初期症状がほとんどないものもあります。「まだ若いし大丈夫!」と思っていたら、気づいたときには病気が進行していた、なんてこともありえます。

未来の自分が「もっと早く分かっていれば……」と後悔しないために。30代になったら、必ず定期検診を受けるようにしましょう。ついつい後回しにしてしまうという人は「毎年誕生月は婦人科検診を受ける」「健康診断では婦人科系の検査も追加する」など自分なりのルールを作ることで習慣化できるはずですよ。

 

参考文献)
日本産科婦人科学会|産科・婦人科の病気インデックス
メディカルノート|卵巣がんを発症しやすい年齢とは? ~組織型による好発年齢の違いや症状について解説~
日本対がん協会|子宮がんの基礎知識
日本産科婦人科学会編著|HUMAN+ P52「若い女性のがん①乳がん」

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