大豆の食べ過ぎは生理に悪影響って本当?知っておきたいイソフラボンのお話

大豆に含まれているイソフラボンが美容にいいと聞き、毎日の食事で摂取を心がけている人も多いのではないでしょうか。しかし実は、イソフラボンの過剰摂取は体に良くない影響を及ぼす可能性もあるんです。そこで今回は村田先生に、改めて大豆食品とイソフラボンについてお話を聞いてみました。

教えてくれたのは…
村田佳菜子先生
村田佳菜子先生
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医、関東ジェンダー医療協議会理事。婦人科医として勤務する傍ら、2019年から女性医療クリニックLUNAで女性性機能外来を担当。クライアントの気持ちや状況に寄り添いながら、あらゆるセックスの悩みに対し医学的にアプローチ。ひとりひとりの性を豊かにすることから、日本の社会をもっと豊かにしたいという思いで活動中。

イソフラボンの効果と摂取目安量は?

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編集部

イソフラボンには女性にとって、さまざまな嬉しい効果があると聞いています。具体的にはどのような効果があるのでしょうか?

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村田先生

イソフラボンは腸内細菌によって腸内でエクオールという成分に変換されます。エクオールは女性ホルモンであるエストロゲンと似た働きがあるので、エストロゲン欠乏によって起こる更年期症状の緩和、骨粗鬆症や脂質代謝異常などの生活習慣病リスクを軽減させる効果が期待できます。エストロゲンが低下していることで肌や髪などに不調がある場合は、これらを改善させる効果も考えられます。

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編集部

イソフラボンが美容にいいというのは本当だったんですね!毎日たくさん摂取するようにします♪

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村田先生

キレイになれると思ってイソフラボンをたくさん摂取したくなる気持ちは分かるのですが、イソフラボンは人体に対していい作用も悪い作用も及ぼす可能性があるんです。そのため、おおよその摂取目安量が提示されているんですよ。

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編集部

どのくらいが適切なんですか?

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村田先生

厚生労働省は日本人が年単位の長期でイソフラボンを摂取する場合、安全である1日の摂取量を75mgとしています。食品に置き換えると豆腐1丁と少し(375g)、納豆2パック(100g)、豆乳コップ1.5杯(300g)になります。

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編集部

コップ1.5杯の豆乳で十分なんですね!

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村田先生

はい。イソフラボンは心筋梗塞など心臓の血管病のリスクを下げてくれたり、前立腺がんや大腸がんの予防に有効であることが報告されている一方、過剰摂取は乳がんや膀胱がんのリスクを上げる可能性や、ほかにもいくつかの病気の発生と関連している可能性があると言われています。女性では、子宮の内膜が厚くなり、月経が長くなることも報告されています。

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編集部

月経が長引くのは嫌ですね…。

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村田先生

ただし、摂取目安量75mgというのは年単位でみたときの平均値の話。多くの人はそこまで摂取できていませんし、1日や2日それを超えたからといって、直ちに健康被害に結びつくわけではないので、安心してください。

※厚生労働省は、日本人の平均的な食物からのイソフラボン摂取量が20mg/dayであることから、サプリで補う場合はプラス30mg/dayの摂取を推奨しています。

大豆食品を食べても意味のない人がいるって本当?

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編集部

そもそも「イソフラボンは誰でも効果を期待できるわけではない」という話を耳にしたことがあるのですが、これは本当なんですか?

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村田先生

そうですね。大豆などから摂取したイソフラボンは腸内細菌によりエクオールに変換されることで効果を発揮しますが、実はエクオールを産生できる腸内細菌を腸内に持っているのは、日本人の半分なんです。エクオール産生腸内細菌を持っていない人は腸内でエクオールが産生されないので、イソフラボンの効果が期待できません。

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編集部

ええっ。その体質は変えられないんですか?

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村田先生

食生活や生活習慣で変えられる可能性があるという話もありますが、現段階で医学的にはっきりとしたことは分かっていないんです。

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編集部

そうなんですね…ちょっと残念です。

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村田先生

エクオール産生菌を持っているかどうか調べられるキットもあるので、もし興味があればチェックしてみてもいいですね。エクオール産生菌を持っていない、もしくは持っているか分からない場合、エクオールの効果を得たいときは、サプリを活用するのもいいと思います。

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編集部

エクオール産生菌を持っていない人は、大豆を食べても意味がないのでしょうか?

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村田先生

そんなことはありません。大豆食品はイソフラボンのほかにも、良質なタンパク質や食物繊維、脂質、それにミネラル、ビタミン、カルシウムなどを含んでいて、私達にとって重要な栄養源の一つです。

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編集部

そういえば、大豆は「畑の肉」なんて呼ばれていたりしますもんね。

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村田先生

そうそう、大豆が牛肉や豚肉に負けないくらいのたんぱく質を含んでいることから、そう呼ばれるようになったみたいですね。

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編集部

すごい!昔から日本人にとって欠かせない食材であるのも納得です。

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村田先生

厚生労働省と農林水産省が2005年6月に公表した食事バランスガイドにおいても、大豆料理は肉・魚・卵と並び「主菜」として位置づけられています。日ごろの食生活において、いろいろな大豆食品をバランスよく取り入れられるように心がけましょう!

参考文献

農林水産省

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