子宮頸がん検診で異形成と診断されたら…自然に消えるって本当?がんになる確率は?

子宮頸がん検診の検査結果で「ASC-US」と判定されたため、追加の検査を受けたsai+ journal編集部員。今回は、「もし異形成になってしまったら?」をテーマに、検査結果にもとづく今後の流れを山田先生に詳しく聞きました。

教えてくれたのは…
山田光泰先生
山田光泰先生
産婦人科専門医。大学病院等で不妊治療を中心とした最先端の医療に従事しつつ、厚生労働医系技官として母子保健施策の推進にも携わってきた。現在は、女性のライフステージに応じたウェルネス向上をサポートすべく、テクノロジーを活用した課題解決にも取り組む。

もしも異形成になってしまったら

編集部:先生、子宮頸がん検査の再検査の結果が返ってきました。特に異常はなかったみたいです。

山田先生:そうでしたか。ひとまず安心ですね!

編集部:はい、ありがとうございます。でも、もしHPVに感染してしまっていたとしたら……ウイルスを取り除く方法は無いんですか?

山田先生:残念ながら現時点ではありません。でも実は、HPVに感染したとしても、一時的なもので自然に消えてくれることも多いんです。まれに子宮の入り口(子宮頸部)にウイルスが長く居着く場合があり、その結果細胞に異常が生じると、数年から数十年かけてゆっくりと段階的に子宮頸がんになっていきます。

編集部:いきなりがんが発覚することはあまり無いんですね。そういえば、私の先輩も去年検診で引っかかったと言っていました。確か『CIN2』とかいうので、異形成の進行度合いを表すんですよね。

山田先生:そうです。子宮頸部の細胞に異常が生じて、異形細胞(がんになる可能性のある細胞)の割合が増えていくと、CIN1(軽度異形成)→CIN2(中等度異形成)→CIN3(高度異形成・上皮内がん)の順番に悪くなってゆき、最終的に子宮頸がんとなります。

編集部:それは、CIN1で気付くことができたらそれだけ早く治療できるということですか?

山田先生:……というわけではないんです。精密検査の結果、CIN1と診断された人は、半年おきごとに細胞診の検査を行い、悪くなっていないかどうかチェックします。

編集部:ええっ、それってなんだか怖くないですか?体に悪いものがあるなら、今すぐ取り除いてしまいたいです。

山田先生:異形成が見つかったからといって、必ずしも子宮頸がんになってしまうわけではありません。下の図は異形成が進行したり、消えたりする確率を表したものです。左向きの矢印がありますが、これは「消退率」と言って、異形細胞が自然と消えてなくなる確率を表しています。つまり、CIN1と診断された人の59〜75%は、放っておいても正常な状態に戻るということ。


(出典)沖明典、日産婦学会誌、2006

編集部:なるほど〜。CINの数字が低いほど、正常に戻る確率も高くなっていますね。もしCIN2やCIN3と判定された場合は、どうするんですか?

山田先生:CIN2の場合も、基本的には経過観察を行いますが、CIN1よりはしっかり検査をします。具体的には、3〜6ヶ月ごとに細胞診とコルポスコピー診の両方を受けてもらいます。

図を見て分かる通り、およそ半数の患者さんは自然に消退していくんですが、1〜2年間で自然に治癒しなかった場合や、HPVの型によってはCIN3への進展リスクを考えて、希望があれば子宮頸部円錐切除術(以下、円錐切除)などの治療を受けるという選択肢もあります。

CIN3まで進んでいた場合、将来妊娠を希望している方※は円錐切除、もしくはレーザー蒸散術(子宮頸部の表面を、レーザーによって焼いてしまう治療法)を行います。

※閉経後の方など、子宮の全摘手術が選択されることもあります。

編集部:円錐切除とは、いわゆる「子宮を摘出する」という意味合いでしょうか…?

山田先生:いいえ。円錐切除はその名の通り、子宮頸部だけを電気メスなどで円錐状に切り取る手術のことで、子宮を摘出するわけではありません。腹腔鏡や開腹手術が必要な子宮全摘出術と比べて、お腹に傷が付くこともないですし、身体への負担は少なく、手術の後に妊娠・出産することが可能なんです。

編集部:そうなんですね…少し安心です。

山田先生:ただ、安心するのはまだちょっと早いんです。円錐切除で病変が全て取り切れればそれで良いのですが、そのためには切り取った円錐状の組織をしっかり顕微鏡で確認する、いわゆる病理組織診断を行う必要があるんです。

編集部:精密検査としての意味も持ち合わせているんですね!

山田先生:そのとおり。病理組織診断の結果、CIN3ではなく実はがんだった場合や、病変が全て取り切れていないことが分かった場合には、子宮全摘術などの追加治療が必要になるんです。

編集部:なるほどです。「要検査」とか「異形成」とか、知識がゼロの状態で知らされたら不安になっちゃうけど……多くの場合、大事には至らないのですね。『軽度異形成なら高い確率で自然治癒することがあって、中等度・高度異形成の場合も、子宮を残して治療をすることができる』ということを知っているだけで、診断結果の受け止め方が変わってきそうです。

子宮頸がんは、正しい知識で防ぐことができる

編集部:ちなみに、もし異形成になってしまったら、自分で気づけるものなんでしょうか?

山田先生:ほとんどの場合、分からないですね。CINが進行していくと、不正出血や異常なおりものなどが現れることもありますが、早期にはほとんど自覚症状が起きないんです。

編集部:それはもう、定期的に検診に行くしかないってことですね。

山田先生:はい。なので、HPVワクチンを接種した人も含めて、20歳以上の全ての女性に対して2年に1度の検診が推奨されているんです。子宮頸がんは他のがんと比べて進行が遅いため、手遅れになる前に発見して治療するチャンスがある稀な疾患であるということは、もっと多くの人に知ってもらいたいですね。

今まで検診をサボってしまっていたという人も、今からでも遅くありません。ぜひ、子宮頸がん検診を定期的に受診することをおすすめします。

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