「膀胱炎」の治し方を解説。原因や予防法、女性に多い理由とは

膀胱炎は女性に多く、再発を繰り返す人も多い病気です。決して珍しい病気ではないため、誰もがかかる可能性があります。膀胱炎になると、トイレの間隔が短くなったり排尿痛があったりと、日常生活にストレスを与える場合も。そこで今回は、膀胱炎の原因や女性に多い理由、また予防法などについて解説します。

教えてくれたのは…

山田光泰先生

産婦人科専門医。大学病院等で不妊治療を中心とした最先端の医療に従事しつつ、厚生労働医系技官として母子保健施策の推進にも携わってきた。現在は、女性のライフステージに応じたウェルネス向上をサポートすべく、テクノロジーを活用した課題解決にも取り組む。

まずはセルフチェック。膀胱炎の症状とは

膀胱炎になると起こりやすい症状について、まずはチェック項目で簡単に紹介します。心当たりがある人や気になる症状がある人は、受診目安の参考にしてくださいね。

＜セルフチェック＞
✔ 排尿時にチクチクとした痛みがある
✔ トイレをしたあとに残尿感がある
✔ トイレの間隔が近くなる
✔ 尿に血が混じる
✔ 尿が白く濁る
✔ 下腹部に違和感がある など

膀胱炎の主な原因

膀胱炎は主に細菌感染が原因となって起こり、男性に比べて女性の方がかかりやすいことが分かっています。そこで膀胱炎について、また女性がかかりやすい原因について解説します。

主な感染原因は腸内細菌類

膀胱炎は、大腸菌などの腸内細菌類が外部から侵入した後、尿道をさかのぼって膀胱に到達して炎症を起こすことで引き起こされます。また睡眠不足やストレス、疲労が溜まっているなど、免疫力が低下しているときなども腸内細菌類に感染しやすいため、膀胱炎になりやすいです。

男性に比べて女性の方がかかりやすい

男性に比べて女性の方が膀胱炎になりやすく、20～40才の女性の25～35％がかかることがあるとされています。女性の方が膀胱炎にかかりやすいのは、尿道の長さが男性に比べて女性の方が短いためです。また女性は通常、腟内に善玉菌が存在しており、腟内を酸性に保つことで細菌感染を防いでいます。しかし月経期間中や妊娠中、閉経後などにより腟内の環境が変化することで、細菌が増えやすくなり、膀胱炎にかかりやすいことも原因として考えられるのです。

膀胱炎の治し方

「もしかして、膀胱炎かも…」と症状に心当たりがある場合、どのように対処すればいいか分からないという人もいるかもしれません。そこで膀胱炎の治し方について、セルフケアも併せて紹介します。

医療機関を受診して治療をする

膀胱炎の症状がある場合には、泌尿器科や婦人科、内科などで診てもらえます。症状が軽い場合には、十分な水分摂取や抗生剤の服用で症状が軽快します。しかし発熱したり、背中の痛みを伴う腎盂腎炎などほかの疾患の可能性があったりする場合には、入院が必要になることも。特に女性の場合は膀胱炎が再発するケースも多いため、治療を行いしっかりと治しておきましょう。

十分な水分摂取を行う

医療機関への受診のほかに、日常生活の中でできるセルフケアとしては、水分摂取を十分に行い排尿を促します。尿量や排尿回数を増やすことで膀胱内の細菌を洗い流し、膀胱内に留まらないようにすることが大切です。

膀胱炎の予防法

十分な水分摂取と、トイレを我慢しない

膀胱炎の治し方と同じように、膀胱炎の再発を予防するためにも、普段からこまめな水分摂取を行いましょう。またトイレを我慢すると、尿が膀胱内に溜まった状態となり膀胱炎を引き起こす可能性があります。尿意を感じたら我慢せずにトイレをすることが大切です。

性行為時にはコンドームを装着する

膀胱炎は性行為によって相手から感染する病気ではありませんが、性行為によって細菌類が尿道に侵入する可能性はあります。また相手が万が一性感染症に感染している場合、コンドームを使用せずに性行為をすることで、膀胱炎のような症状が出ることも。性感染症を予防するためにも、性行為時にはコンドームを使用しましょう。このとき覚えておきたいのが、コンドームの種類に気を付けること。コンドームの中でも殺精子剤を含有するコンドームの使用は、逆に膀胱炎を引き起こす原因になる可能性があるため注意しましょう。性行為をした後には、排尿をすることも大切です。

免疫力を低下させない生活習慣を心がける

膀胱炎はストレスや疲労がたまっているなど、免疫力が低下している状態でもかかりやすくなってしまいます。そのため、ストレスや疲労を溜めないような生活習慣を心がけましょう。また風邪など体調を崩しているときには、しっかり身体を休めて体調回復に努めてくださいね。

膀胱炎の治し方を知り、予防につなげよう

女性に多い膀胱炎は、誰でもかかる可能性があり、再発もしやすい病気です。残尿感や排尿痛など、膀胱炎のような症状に心当たりがあるときには、まずは水分摂取を行って排尿を促しましょう。またしっかりと治すためにも、泌尿器科や婦人科・内科などを受診して、必要に応じて処方された薬は飲み切ることが大切。水分摂取や免疫力を落とさないように日頃の生活を見直して、再発予防に努めてくださいね。