【女性】尖圭コンジローマって何? イボができる原因や知っておきたい注意点とは
尖圭(せんけい)コンジローマとは性感染症(STD)の1つで、性行為や、それに似た行為によって感染する病気です。性器の周辺にイボができる症状で、比較的若い女性の感染率が高く、そのピークは20代前半とされています(※1)。尖圭コンジローマは、自然消滅したりイボ以外の症状が出ないこともあり、感染に気付かない場合も。そこで本記事では、チェックリストや原因に加え、治療法や予防法まで紹介します。
- 監修医師
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陣内理子先生産婦人科専門医、医学博士。久留米大学(2011年)、順天堂大学大学院卒業。大学病院及び関連施設に従事し、2016年より2年間ヨーテボリ大学留学。一般婦人科、不妊治療、周産期、無痛分娩。
女性の尖圭コンジローマとは? チェックリスト
パートナーとの性行為後、自分の体調がいつもと違うように感じる場合、少し不安になりますよね。以下のような症状に心当たりがないか、まずはセルフチェックしてみましょう。<尖圭コンジローマセルフチェック>
✔ 性器やその周辺にイボのようなものがある
✔ イボが少しずつ増えている
✔ にわとりのトサカやカリフラワーのような形状の出来物ができる
✔ 性器やその周辺にかゆみを感じる
✔ 痛みなどの不快感がある女性の尖圭コンジローマについて
尖圭コンジローマの大きな特徴はイボです。尖圭コンジローマを発症すると、かゆみや痛みを伴うこともありますが、イボが増えたり大きくなったりする事が多いです。その原因は、主に性行為による感染で、自身の尖圭コンジローマの発症に気付いたときには、パートナーも同時に発症している可能性があるので注意が必要です。尖圭コンジローマの特徴はイボ
尖圭コンジローマは、性行為によってパートナーと接触する可能性のある部位に、イボができる性感染症です。できたイボは平らなものを始め、にわとりのトサカやカリフラワーを思わせる、イボがつながったようなものもあります。
イボの色は灰色やピンク、白、茶色などさまざまで、人によってはそのイボがどんどん増えていく場合があります。また、尖圭コンジローマはイボ以外の症状が現れない場合もありますが、中にはかゆみやうずくような痛みを伴う人もいるようです。
原因はHPV
尖圭コンジローマの原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)と呼ばれるウイルスです。HPVについては、その名前を聞いたことがある人もいるかもしれません。HPVとは、性行為の経験がある女性なら50%以上が一生に一度は感染すると言われている、一般的なウイルスです(※2)。
尖圭コンジローマは、このHPVのなかでも主に6型と11型の感染によって起こります(中には発がん性と関係するHPV16、18型などが混合感染している場合もあります)。
主な感染経路は性行為
HPVの感染経路は、主に感染者との性行為やそれに似た行為。具体的には腟性交のほか、アナルセックスや皮膚が触れ合うことでも感染します。
HPVは、皮膚や粘膜の小さな傷から侵入して感染します。また、女性が妊娠時に腟内などに病変を形成していると、分娩時の産道感染によって母子感染症を発症することもあるようです。
尖圭コンジローマの診断方法と治療方法
尖圭コンジローマの診断は、基本的に患部の観察によって行います。治療法は主に3通りあり、手術療法以外は何度か処置や薬剤塗布を繰り返す治療となります。診断方法
尖圭コンジローマは、感染してから症状を確認できるまでに3週~8ヵ月(平均2.8ヵ月)程度かかるため、感染した時期を特定することは難しい場合もあります。
内性器にイボができている場合は、コルポスコピー検査と呼ばれる、腟内や子宮の頸部を拡大する拡大鏡検査を行ったり、肛門鏡検査を行ったりします。
治療方法
尖圭コンジローマの主な治療法は、以下の3通りです。
治療方法 詳細 外用薬
(イミキモド5%クリーム)クリーム状の外用薬を塗布する治療法。3日おきに就寝前に塗布し、起床後に石鹸で洗い流す。他の治療法に比べ治療期間は長いが、痛みを伴わず、傷あとが残る心配がない。 ただし、外用薬が使用できるのは外性器のみなので、内性器に出来た場合は使用できない。
液体窒素
(凍結療法)液体窒素を含んだ綿棒をイボに当てることで、壊死させる治療法 手術療法
(電気メスや炭酸ガスレーザー他)電気メスや炭酸ガスレーザーなどで、イボを切除する治療法。 外用薬でなかなか症状が改善しない場合に行うことが多い。手術療法を行う場合には、痛みを考慮して局所麻酔を行うこともある。
女性の尖圭コンジローマで注意することは?
尖圭コンジローマは、パートナーへの感染予防や、他の部位へ広がらないようにするためにもしっかりと治療することが大切です。また、完治したと確認できるまで経過観察することが、再発予防の上でも重要です。放置せずに治療する
尖圭コンジローマは、その症状に気付いた時点で早めに受診し、検査や治療を受けることが大切です。自然消滅する場合もありますが、尖圭コンジローマは放置しているうちにイボが増えたり、大きくなったり、さらに同時にパートナーも感染していたりする可能性もあります。そのため、パートナーと同時に検査や治療を行う必要があることも。早めに検査や治療を受けられるよう、症状に気づいたらまずは病院を受診しましょう。
再発に気を付ける
尖圭コンジローマは、一度イボが消失しても、3ヵ月以内に25%は再発するとされています(※3)。そのため、他の部位への感染が見られないか、パートナーも発症していないかなど注意しておく必要があります。イボが消失したあとも、経過観察のために受診を継続するようにしましょう。
女性の尖圭コンジローマ予防法
尖圭コンジローマを始めとするSTDを予防するためには、性行為時にコンドームを使用することが重要です。コンドームについては、使用する意味を正しく理解し、STDの感染予防に活かしましょう。コンドームを使用する
STDである尖圭コンジローマを予防するには、性行為時にコンドームを使用するようにしましょう。コンドームは避妊予防だけでなく、STD予防としてもその使用を推奨されています。
コンドームの正しい使い方については、以下の記事で紹介しています。
HPVワクチンの接種を検討する
HPVワクチンは、子宮頸がんの原因となるHPV感染を防ぐためのワクチンで、小学校6年生〜高校1年生の女性を対象に行われています。接種する場合には公費で受けることができ、半年〜1年の間に計3回の定期接種が行われます。
このHPVワクチンにはいくつかの種類がありますが、なかでも4価ワクチンや9価ワクチンは尖圭コンジローマの原因となるHPV6型、11型の感染も予防します。尖圭コンジローマや子宮頸がんなど、 HPV感染によって引き起こされる感染症や病気を予防するためには、HPVワクチンが有効であることが証明されています。
また、尖圭コンジローマや中咽頭がん、肛門がんなどの予防もできるため、女性だけでなく男性へのHPVワクチン接種も推奨されています。HPV接種をすることは、大切なパートナーを病気から守ることにもなるのです。
【女性】尖圭コンジローマについて知り、予防につなげよう
尖圭コンジローマは、性器やその周辺などにイボができるSTDの1つ。イボは自然消滅することもありますが、増えたり大きくなったり、痒みや痛みも伴うなど症状がひどくなる場合もあります。また、尖圭コンジローマは適切な受診と治療で治せますが、再発する可能性も高い病気です。そのため、定期的な経過観察や、パートナーも同時に検査を受けることが大切です。コンドームの必要性やHPVワクチンについても正しく理解し、予防につなげましょう。
参考文献
※1 国立感染症研究所「尖圭コンジローマの発生動向、2019年」(2022年12月30日に利用)
※2 厚生労働省「ヒトパピローマウイルス感染症とは」(2022年12月30日に利用)
※3 一般社団法人 日本性感染症学会「尖圭コンジローマ」