【登壇レポート】福利厚生の新トレンド『オンラインピル処方』で変わる働き方@HelloFemtechアワード2022

2022年12月12日に日本経済新聞社イベント・企画ユニットと宝島社の共同開催で行われた「Hello Femtechアワード2022」。本イベント内のトークセッションに、sai+journalの監修およびクリニックフォアの医師として活動する産婦人科専門医・山田光泰先生が登壇しました!

テーマは「福利厚生の新トレンド『オンラインピル処方』で変わる働き方」。ファシリテーターの宝島社SPRiNG編集長 丸山さん、福利厚生としてクリニックフォアのオンラインピル処方を導入している株式会社コジマの大野さん・野口さんと共に、健康経営や女性の働き方の手段として注目を集めている「低用量ピルの福利厚生導入」について4人でディスカッションしました。

 

オンラインピル診療導入のきっかけは、女性社員のリアルな声

コジマでは以前、健康経営の取り組みの1つとしてワークショップを開催。その中で挙がったのが、現場に立つ女性ならではの「生理」にまつわる悩みでした。

(コジマ)大野さん
「『売り場から離れられずに経血が漏れてしまった』『生理を理由にシフト変更をしたくても所属長に相談しにくい』などのリアルな困りごとが多く挙げられました。一方で、男性社員からは『何かしてあげたいけれど、どうしたらいいかわからない』という困惑の声もありましたね。
これをきっかけに、職場全体が正しく女性の健康問題に対する知識をつけること、そして女性自身も自分の体と向き合ってPMSなどの対処法を理解し、お互いに歩み寄ることが必要だと感じました。」

山田先生
過去に行われたある調査によると、働く女性の約半数が『月経にまつわる症状によって、仕事に対するパフォーマンスが半分以下に落ちてしまったことがある』と回答しています。女性同士でも人によって生理の症状や影響も違うので、性別を超えて理解するのはもっとハードルが高いですよね。」

(コジマ)大野さん
「そうですね、パフォーマンスについては、弊社の
ストレスチェックでも同じような回答が多かったです。プレゼンティーズムロスを挙げた社員のうち約4割が、「生理がパフォーマンスに影響する」と回答していました。この結果を受けて、女性が働きやすくなり、活躍を後押しする“生理についての対策”を取ることが非常に重要だと考えました。

(宝島社) 丸山さん
「その一環として、福利厚生でオンラインピル処方を導入することにしたんですね。」

(コジマ)大野さん
「はい。この取り組みを社内に開示することで男性社員にも理解を促し、『生理』がもっと普通のものとして認識される職場環境づくりができるのでは、と考えました。

 

何らかの疾患や症状を抱えながら働くことにより労働生産性が下がることや、その損失。

低用量ピルと健康セミナーが社員の意識を変えた

▲写真:株式会社コジマの大野さん(左)、野口さん(右)

 

実際にオンラインピル処方を導入してみると、女性社員からは様々な反響が。

(コジマ)野口さん
『会社が女性特有の課題に対し支援し、補助があることで、我慢せずに自分の不調に向き合い解消策をみつけることができた』という声が一番うれしかったですね。」

コジマでは、従業員に正しく知識を付けてほしいという思いから、福利厚生の導入にあたって山田先生による「女性の健康セミナー」も行ったそうです。

山田先生
「コジマさんでは、更年期障害や女性のがんに関するセミナーを行いました。驚いたのは社員のみなさんのヘルスケアに対するリテラシーの高さ。多くの質問をいただいて、担当者だけではなく企業全体として健康問題に関心を持たれているということが伺えました。

(コジマ)大野さん
「更年期障害については、今後の見えない不安としてかなり関心が高かったです。セミナーを受講した従業員の多くが満足したと回答していて、その中でも、『こういう機会を会社が提供してくれることに非常に感激した』という声がありました。これからも、“正しく知る”ということを社内に広めてきたいです。」

山田先生
女性の健康問題による労働損失は年間4,911億円と言われています。低用量ピルは、生理による経済的損失を軽減しうるツールのひとつ。ピルの服用を入口にして、個人がヘルスケアへの意識を高める機会に繋がればと考えています。」

従業員の健康サポートは、企業の成長につながる

今回のトークセッションでは、働く女性のリアルな悩みが明らかになりました。福利厚生として低用量ピルを導入することが、月経による症状の改善だけではなく企業が女性の健康課題を考えるきっかけとなり、さらには従業員が自分自身が体と向き合う良い機会になったというのがとても印象的でした。

今回は女性の働き方へのサポートとして「オンラインピル処方」がテーマでしたが、低用量ピルだけではなく、従業員の健康サポートという形でのオンライン診療の福利厚生導入は今後も広がっていきそうです。

「CLINIC FOR WORK」

イベント概要)
Hello Femtechアワード2022
開催日:2022年12月12日(月) 18:00~20:30
会場:日経ホール
主催:宝島社、日本経済新聞社 イベント・企画ユニット

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