お洗濯マイスター直伝! 衣類やマットレスに付いた「経血の落とし方」
多い日や就寝中の伝い漏れ…。生理中の経血で、下着やシーツ、お気に入りの洋服を汚してしまったという経験がある人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、お洗濯マイスター 大貫和泉さんに、衣類や下着だけでなく、シーツやマットレスに付いてしまった「経血の落とし方」を聞きました! ケガなどによる出血にも使えるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
- 教えてくれたのは…
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ライオン株式会社 お洗濯マイスター 大貫和泉(おおぬき いずみ)さん消費生活アドバイザー、繊維製品品質管理士、健康予防管理専門士。洗濯用洗剤などの製品開発・調査に約20年携わってきました。2児の母親としての経験と研究活動を融合し、主婦・母親・女性目線で日々のお洗濯に役立つ情報をお伝えしています。
【シーツ・衣類の経血汚れ】液体の「酸素系」漂白剤を使う
シーツや衣類に付いた経血汚れには、液体の「酸素系」漂白剤を使います。そもそも衣類用漂白剤には主に2つの種類があり、酸素系と塩素系に分かれます。色がついていたり、柄がある洋服にも使える「酸素系」漂白剤を使いましょう。使用する漂白剤に表記があるはずなので、しっかりと確認してみてください。また、粉末よりも液体の酸素系漂白剤なら、ウォッシャブルウールやシルクにも使えます。
大貫さん前提として、衣類や布製に付いた汚れ(経血)は、衣類用の酸素系漂白剤と洗剤を使って洗い落としましょう。洋服や布製品へのダメージを考慮して作られているので、大切な衣服を守るために、ぜひ衣類用酸素系漂白剤を使ってくださいね
ステップ1. 洗濯表示を確認する
まずは、衣類やシーツの洗濯表示で「家庭洗濯(水洗い可能)」と「漂白マーク(酸素系漂白剤の使用可能)」、2種類のマークを確認します。この2つのマークに×がついていなければ、ご自身でお家で洗濯することが可能で、酸素系漂白剤も使用できます!
大貫さんこの2つのマークがどちらもある場合のみ、ご自身で酸素系漂白剤を使ったお家での洗濯が可能です。家庭洗濯のマークがない場合は、クリーニング店でプロに相談しましょう
ステップ2. 40℃以下の水道水で洗い流す
血液のシミ部分を、水でよく洗い流します。この時、注意してほしいのが水の温度。血液はタンパク質なので、お湯で洗うと固まって落としにくくなってしまいます。温度が40℃以下の水を使って洗い落としましょう。
ステップ3. 液体の酸素系漂白剤を、直接汚れに付ける
衣類を軽く絞り、液体の酸素系漂白剤を直接汚れ部分に付けて洗濯機に入れ、通常通りの洗濯をします(洗濯洗剤も入れてください)。これで汚れも目立たなくなるはずです!
おしゃれ着の場合も、ステップ1の2つの洗濯マークがあれば、同じ工程で汚れ落としができます。洗濯機で洗う際の洗剤をおしゃれ着用洗剤(中性衣類用洗剤)にして、洗濯マークに沿って、手洗いもしくは洗濯コースを選びます。酸素系漂白剤が使用できない場合は、液体洗剤やおしゃれ着用洗剤を直接塗ってから、洗濯機に入れましょう。
大貫さん酸素系漂白剤を使う時は、ゴム手袋をして皮膚に付かないように注意してください。もしも皮膚に付いてしまったら、すぐに水で洗い流してください
ひどい汚れの場合は「つけ置き」をする
時間が経った汚れや、ひどい汚れで、ステップ3でもシミが落ちそうにないという場合は「つけ置き」をします。ステップ3で液体酸素系漂白剤を塗った後、洗面器などに水3〜5リットル&濃い目の洗剤(漂白剤ではなく洗濯用洗剤)を入れた洗剤液を作り、30分〜2時間程度つけ置きをします。
つけ置きした衣類(もしくはシーツ)と、洗面器の洗剤液をそのまま洗濯機に入れて、通常通り洗濯します。
※洗濯機で洗濯する場合の洗剤量は、洗面器に入れた分を差し引いた分を入れましょう。大貫さんウールやシルクなどの素材の衣類、ニット、スーツなどのおしゃれ着などはつけ置きができないものもあります。ひどい汚れが付いた場合は、台所用スポンジの柔らかい部分におしゃれ着用洗剤を付けて、軽くたたいて、優しく汚れを落とすのも手です
<POINT> 長時間つけ置き可能な洗剤を使うと安心
汚れは、時間とともに落ちにくくなるため、なるべく早く落とすことが大切です。けれど、朝支度でバタバタしている場合や、外出の予定がある場合などは洗濯まで終わらせるのが難しいこともありますよね。そんなときは、ステップ2までを終わらせておいて、その後は衣類にかけて、洗濯するまで放っておくことのできる洗濯用プレ洗剤につけておくと安心です。長時間の放置をNGとしている洗剤も多いので、経血だけでなく、エリ袖汚れ、食べこぼしなどの汚れやシミの時のために持っておくと重宝しそうです!
【マットレス・布団の経血汚れ】外側から内側につまみ取る
衣類やシーツと違って、洗濯機で洗えないマットレスや布団に経血汚れが付いてしまった場合についても、表面の汚れをある程度落とすことは可能です(素材によって差があります)。こちらも、汚れを見つけ次第早めに対処することが大切です!
大貫さんマットレスや布団は、中の素材まで汚れが入ってしまうと、完全に落とすことは難しいです。ここでは、できる限り表面の汚れを落とす方法を紹介します
<用意するもの>
・タオル数枚
・40℃以下の水
・歯ブラシ(捨ててもOKなもの)ステップ1. 洗濯表示を確認する
洗濯表示に「家庭洗濯(水洗い可能)」マークが付いていることを確認します。
ステップ2. 外から内へ、汚れをつまみ取る
水を含ませたタオルを固く絞り、つまみ取るように経血汚れを落とします。この際、ゴシゴシしてしまうと汚れが広がってしまうので、外側から内側へ「つまみ取る」イメージを忘れずに行ってください。汚れが落ちたら、自然乾燥させます。
大貫さん汚れを取ったタオルの同じ部分を2回以上使うと、せっかく落とした汚れが再度付いてしまいます。汚れが付いていない部分で落とすように、少しずつタオルの使う部分を変えて汚れを落としましょう
ひどい汚れの場合は「おしゃれ着用洗剤」を使う
ステップ2でも汚れが目立つようなら、中性の衣類用洗剤であるおしゃれ着用洗剤を使います。おしゃれ着用洗剤を薄めた洗剤液(水1リットルに対して洗剤2.5ミリリットル程度)にタオルを浸して、固く絞ったら、まずは目立たない部分で色落ちしないかを試します。
大貫さんつまみ取るのが難しい場合は、古い歯ブラシを使っても汚れを取ることができます。歯ブラシの先に同じ洗剤液を付けて、染みの部分に置き、歯ブラシの先で表面だけをかき取るように汚れを落とします
問題ないようなら、ステップ2と同じ様に汚れをつまみ取ります。その後、ステップ2と同じ様に、水を含んだタオルで洗剤をできるだけ落として、自然乾燥しましょう。
<POINT> ドライヤーでの乾燥は厳禁!
ドライヤーの高温の風で乾かすと、汚れが目立ってしまうことがあります。自然乾燥で乾かすことを心がけてください。【緊急事態】外出先で衣類が汚れた場合は?
外出先や勤務先で、経血が漏れたり急に生理になったりした場合、下着やナプキンはコンビニやドラッグストアで購入できますが、スカートやズボンに付いた衣類の汚れをすぐに洗剤で洗うのは難しいもの。その場合の緊急対応として、お洗濯マイスター 大貫さんがおすすめしてくれたのが、携帯用シミとり剤「シミとりレスキュー」という商品。ドラッグストアや一部コンビニでも扱っているようなので、緊急時にはぜひ探してみてください!
携帯用シミとり剤というと、コーヒーや食事の際に付いてしまったシミに使うイメージですが、「シミとりレスキュー」は、なんと経血にも使えるという便利なアイテム。さらに嬉しいのは、これならウールやシルクはもちろん、先に紹介した「家庭洗濯(水洗い可能)」マークがない衣類にも使える、という優れもの。洗い流す必要もなく、濡らしたタオルなどで洗剤を取り除くだけなので、すぐに洋服が洗えない時に重宝するアイテムです。
外出先での緊急時はもちろん、多くの職場で使われているような布製のイスにも使える場合もあるので、「まさか!」な事態の時のために、ポーチや会社の引き出しに入れておくと救世主になりそうです。
※下着に付いた経血汚れは、デリケートな部分に直接付く可能性があるため、しっかりと洗い流す必要があります。外出先での使用は避けてください。ポイントを押さえれば、経血汚れも焦らないでOK!
大切な衣類やマットレスに経血汚れを見つけても、ポイントを押さえて対応すれば、気にならない程度に落とすことができます。共通して言えることは、経血汚れを見つけ次第、なるべく早く落とすこと。ご紹介したポイントをおさらいします。
= おうち編 =
【下着・衣類】
✔家庭洗濯と漂白剤使用が可能か確認する
✔40℃以下の水道水でよく洗い流す
✔液体の酸素系漂白剤を直接付ける
✔ひどい汚れは洗剤液につけ置き
✔通常通り洗濯する【マットレス・布団】
✔家庭洗濯が可能か確認する
✔水を含んだタオルで汚れをつまみ取る
✔ひどい汚れには「おしゃれ着用洗剤」を使って落とす
✔自然乾燥させる= 外出編 =
✔経血の落とせる携帯用シミ取り剤を使用する