【はじめての婦人科】「おりものの異常」での金額はいくら? 何するの?
女性特有のトラブルで強い味方となってくれる、婦人科。「いくらかかるの?」「どんな検査をするの?」など受診前には気になるものですよね。そこでこの記事では、悩み別の検査内容と料金をリサーチ! 今回は「おりものの異常」ではじめて受診を決めたAさんを例に紹介します。
※本記事で紹介する検査内容は、産婦人科医監修のもと「おりものの異常」で想定される初診での検査についてです。医療機関によっては、記載した内容に追加・変更がある場合もあります。また、各料金はsai+journal調べによる参考金額を提示しています。再診や処方の詳細な金額については、受診予定の各医療機関に問い合わせてください。
Aさんのプロフィール
29才。出産、婦人科受診の経験なし。1週間前からデリケートゾーン(外陰部)にかゆみを感じ始め、市販のかゆみ止めを試したが効果がなく我慢していた。昨日、いつもとは違うおりものが出て、急いで婦人科受診を決めた。遠距離恋愛中のパートナーと1カ月前に性行為があったが、それ以降はない。
「おりものの異常」で必要な検査と金額
外陰部のかゆみとおりものの異常、とのことですね。かゆみはいつからですか?
1週間前からです。
おりものは、どんな色ですか?
黄緑っぽくて、膿のような色です。
ニオイはありますか?
はい。魚が腐ったような……生臭い感じです。
おりものに血が混じっている、ということはありませんか?
いいえ、それはありません。 ありがとうございます。強いかゆみもあるとのことなので、何らかの性感染症の可能性が疑わしいですね。最後の性行為はいつでしょうか? 1カ月ほど前です。そんな前なのに性病の可能性があるんですか……? 性病は感染してからすぐに症状が出るとは限らず、時間がたってから出てくることもあります。しっかり検査しておきましょう。
検査名/項目 | 目安金額(保険適用の自己負担分) |
初診料 | 約800〜1,000円 |
内診 | 診察料に包含される |
性病検査(腟分泌物ぬぐい) | 約1,000~2,500円(※検査1項目あたり) |
内診:一般的に、目で見て診察すること(視診)、実際に指で触れて診察すること(触診)の2つの診察をあわせて「内診」といいます。性病検査の場合、視診でまず外陰部のただれや炎症所などを確認します。その後、クスコという専用器具を腟口から挿入し、腟壁、子宮頸部(子宮の入口)、分泌液(おりもの)に異常がないか確認します。この際、めん棒を使って性病検査用におりもののを採取します。視診で性病以外の疑いが考えられる場合は、触診も行います。触診では、実際に指を腟口から挿入し、子宮や卵巣のサイズ・可動性・痛みなどを確認することで、炎症等が起きていないかを診断します。
性病検査(腟分泌物ぬぐい):内診の際に、めん棒で分泌物(おりもの)をぬぐって検査します。この方法では主にクラミジア感染症、淋菌感染症、腟カンジダ、トリコモナス腟炎などが判明します。その他にも、咽頭(いんとう)ぬぐいや、血液検査、尿検査を行う場合もあります。
【当日の服装チェック】
内診・性病検査(腟分泌ぬぐい)は内診台で行うため、次のような服装が◎
✔着脱が不要なスカート
✔脱ぎやすい靴
※医療機関によっては当日検査結果が出るところもあれば、数日かかる場合もあります。どちらにおいても、検査日と同日に疑われる性病の治療をすすめるのが一般的です。詳しくは受診する婦人科・医療機関に聞いてみましょう。
性病検査の詳細な結果には数日かかりますが、症状とおりものの性状から考えるに、性病の1つである「トリコモナス腟炎」の疑いが非常に高いです。
え!? だって最後の性行為、1カ月も前なのに……。
トリコモナス腟炎は、感染してもしばらく症状がでないことも多々あります。人によっては半年ほど症状がでないこともある厄介な性病なんです。
パートナーからうつった、ということですよね?
そうとも言い切れません。実はこのトリコモナス腟炎は、性行為以外でも、風呂やトイレの便座からも感染する可能性は少なからずあるので、感染時期やその経路がはっきりしないことがあります。ただ、カップルのどちらかが感染症にかかっている場合、性行為でパートナーに感染する可能性は非常に高いので、お相手の受診も必要です。
すぐに連絡します!
特に男性の場合は女性よりも無症状の方が多いので、できる限り早めの検査・治療をすすめてください。トリコモナス腟炎(男性の場合:トリコモナス感染症)は基本的に自然治癒はしない病気なので、お薬による治療は必須です。
どのくらいで治るんですか?
内服の治療薬を1週間〜10日ほど内服していただきます。先ほどもお伝えした通り、トリコモナスは性行為以外でも感染の可能性があります。治癒が確認できるまでは、性行為はもちろん、ご家族の方などと一緒に住んでいる場合はお風呂やバスタオルの共有も避けてください
分かりました。
性病はすぐに症状がでるものとそうでないものもあるので、今後も、少しでも不安になったらまずは検査を受けるようにしてくださいね。
性病に「自分は大丈夫」は禁物!
今回のAさんの「トリコモナス腟炎」のように、性病の中には発症してから自覚症状がでるまでに長期間を要するものや、そもそも自覚症状がないまま感染してしまっている、ということが多々あります。そのため、「特定のパートナーとの性行為のみだから私は大丈夫」とは限りません! また、性病はコンドームの使用によって100%防げるということもなく、中にはキスやオーラルセックスで感染してしまうものもあります。 そして性病でもっとも避けたいのは、無自覚のままお互いに病気をうつしたり、もらったりすることで、いつまでも病気を完治できない「ピンポン感染」。大切なパートナーを守るためにも、性病の疑いがある場合はすぐに検査を行い、感染の診断があった場合は、パートナーと一緒に治療を受けることが大切です。
- 監修医師
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山田光泰先生産婦人科専門医。大学病院等で不妊治療を中心とした最先端の医療に従事しつつ、厚生労働医系技官として母子保健施策の推進にも携わってきた。現在は、女性のライフステージに応じたウェルネス向上をサポートすべく、テクノロジーを活用した課題解決にも取り組む。