知っていると心が少し軽くなる。女性ホルモンの周期的な「ゆらぎ」について

「いつもは前向きなのに、今日はなんだか気分が落ち込む」「急に肌が荒れてしまった」など、心身の状態がコロコロ変わると感じることはありませんか?なかには「本当の自分が良く分からなくなってしまう」という人もいますが、それは女性ホルモンが大きく関係している可能性があり、気分や体調にムラのある自分を責める必要はありません。ここでは、女性ホルモンが引き起こすゆらぎと、それに伴う身体の変化について解説します。

監修医師
山田光泰先生
山田光泰先生
日本産科婦人科学会認定、産婦人科専門医。大学病院等で不妊治療を中心とした最先端の医療に従事しつつ、厚生労働医系技官として母子保健施策の推進にも携わってきた。現在は、女性のライフステージに応じたウェルネス向上をサポートすべく、テクノロジーを活用した課題解決にも取り組む。

ゆらぎを引き起こす女性ホルモンの正体は?

女性特有の「ゆらぎ」を引き起こす女性ホルモンには、大きく分けてふたつの種類があります。

エストロゲン(卵胞ホルモン)

卵胞から分泌されるエストロゲンはアクセル役、パワーアップのホルモンとも例えられます。
肌や髪の新陳代謝を高めるため「美のホルモン」とも呼ばれ、肌や髪のつやを良くするほか、代謝をUPさせて脂肪の燃焼を促したり、自律神経の安定や記憶力のUPのサポートをしてくれたりします。

プロゲステロン(黄体ホルモン)

黄体から分泌されるプロゲステロンはパワーダウンのホルモン、ブレーキ役とも例えられます。
子宮内膜をふかふかにし、受精卵の着床を助ける役割をもつ一方、プロゲステロンの分泌が多くなると、体温が上がり、代謝が鈍るため、水分や脂肪をため込みがちになます。このため、体が重く感じたり、むくみや便秘になりやすくなります。

女性ホルモンと毎月のゆらぎ

毎月、それぞれのホルモンの分泌量には多くなる時期と少なくなる時期があり、この波の影響で心身の状態に「ゆらぎ」が生じるのです。

参考:高尾美穂著「大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111」P17/松村圭子著「これって女性ホルモンのしわざだったのね」P26

生理中

エストロゲン、プロゲステロンのどちらのホルモンも分泌量が少ない時期。女性ホルモンによる守りが低下するため免疫力が低下、血行不良や冷え、生理痛、だるさや眠さと付き合う時期です。

生理後

体の中でエストロゲンの分泌が増えていき心身の状態がUP。肌の調子も良く前向きな気持ちになり、仕事やダイエットなどもはかどりやすい時期です。

排卵後

エストロゲンの分泌量が減ってプロゲステロンが増え、体は水分や糖分を蓄えようとします。むくみやすく太りやすくなり、わけもなくイライラしたり集中力が低下しがちに。

生理前

女性ホルモンの分泌量が下がり、もともと体質的に弱い部分が症状となって表れやすくなります。PMS(月経前症候群)に悩む人や、糖分やカロリーの高いものを食べたくなる衝動に駆られる人も。

これほどに大きな変化が、毎月毎月、体のなかで繰り返されているのです。

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よくある「ゆらぎ不調」と対処方法

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エストロゲンの分泌量が多く好調なときは良いのですが、困るのは不調のとき。女性ホルモンのゆらぎによってどのような不調が起こりやすいか、起こったときの対処法とあわせて挙げてみましょう。

肌荒れ、吹き出物

時期:排卵後~生理前
皮脂の分泌が増え、吹き出物ができやすくなります。
対策:この時期は肉や乳製品などの動物性脂肪を控えめに。お酒やインスタント食品が多い人は普段からビタミン不足の傾向があるので、果物や野菜、豆腐や納豆、玄米などを意識的に取るようにしましょう。

むくみ

時期:排卵後~生理前
排卵後は妊娠に備え、プロゲステロンが体に栄養や水分をため込もうとするため、体がむくみ、代謝が落ち、体重が増える傾向にあります。
対策:この期間は無理に体重を落とそうとせず、ダイエットは生理後に行うようにしましょう。

気分の落ち込み

時期:排卵後~生理前
女性ホルモンの分泌量が急変動するため、些細なことで気持ちが浮き沈みしがちで、自分に対しても自信をなくしたり、自己嫌悪に陥りがちになります。
対策:「今は落ち込みやすいタイミングだな」と自覚し、深く考えすぎないよう心がけましょう。身の周りのことに優先順位をつけ、重要ではない付き合いやSNSなど、手放せることは手放しましょう。

眠い・眠れない

時期:排卵後~生理前
本来、夜になると眠りに備えて体温が下がりますが、生理前はプロゲステロンの影響で体温が上がり、寝つきが悪くなったり、日中に眠くなったりします。
対策:入眠前には手足の血管が拡張し放熱することで入眠するので、寝る前に体を冷やさないようにし、脳をリラックスさせるためにも寝る前にスマホやPC等を長時間見続けないようにします。この時期はできるだけ夜の予定を控え、早めに就寝するよう心がけましょう。

疲れやすい

時期:排卵後~生理前
血行が悪くなり冷えがちで、ホルモン量が低下するため疲れを感じやすくなります。経血に伴い、貧血のような疲れも感じやすくなります。
対策:体を冷やさないよう心がけ、冷えを感じたら足元や腰(仙骨のあたり)を温めたり、ホットミルクやショウガ茶などの温かい飲み物を選びましょう。生理前の時期から、タンパク質、鉄分を意識的に補いましょう。

イライラ

時期:排卵後~生理前
エストロゲンの減少とあわせて、心をリラックスさせるセロトニンも減少するため、普段気にならないような些細なことにもイライラしやすくなったりします。
対策:「ホルモンのせい」と自覚し、割り切ってやり過ごしましょう!セロトニンの材料となるトリプトファン(大豆製品、卵、バナナ、)、ビタミンB6(豚肉、かつお、まぐろ)は、女性ホルモンの材料にもなるので、「豆乳バナナシェイク」「まぐろ納豆丼」などもおすすめです。

頭痛、肩こり

時期:排卵後~生理前
日常的にPCやスマホを見る時間が多い人は、首肩の血行が滞り頭痛や肩こりになりがち。生理前や生理中は子宮の収縮に伴いさらに血行が悪くなるので、普段から血行の悪い部分に痛みを感じやすい傾向に。
対策:生理後の元気な時期に、意識的に筋トレや軽い運動を取り入れ、血流を促すようにしましょう。また日ごろから同じ姿勢をとり続けないよう、首や肩を動かしストレッチすると、生理中の痛み予防につながります。

女性ホルモンに伴う不調を挙げてみると、すべて後から生理前、生理中にかけて集中しています。それだけ、調子の良い時期とそうではない時期がハッキリと分かれているということです。それでは、自分の体のなかの女性ホルモンの変化は、どのようにして掴んでいけば良いでしょうか。

「ゆらぎ」を掴むために生理周期を把握しよう

女性ホルモンの分泌の推移とゆらぎを掴むと、不調のときの心持ちが変わったり、対策ができたりするようになります。そのためにまず始めたいのが、生理周期を把握することです。
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便利なスマホアプリ

スマホアプリにもさまざまなものがあり、生理日を入力するだけでおおよその排卵日を予測したり、体調の傾向を教えてくれたりします。生理周期とあわせて気分や体調のちょっとした気づきもメモしておきましょう。自分の傾向が掴めると、「今は痩せやすい時期だから運動を取り入れてみよう」、「来週は肌荒れしやすくなるから、今のうちにビタミンを多めにとっておこう」など、周期に合わせた対策を取れるようになりますよ。

おりものの状態を気にしてみましょう

周期を記録しつつ、おりものの状態も観察してみてください。おりものの量や状態は個人差はありますが、女性ホルモンの分泌量の推移とおおむね連動しています。
生理後
生理直後は血液と混じった茶色~褐色。その後量は減り、サラリとした状態になります。

排卵前後
量が多くなります。透明のゼリー状で、よく伸びるおりものが2~3日続きます。

排卵後
量は次第に少なくなり、白濁とした、粘り気のある状態になります。下着に付くと黄色っぽく見えることもあります。

生理前
生理が近づくとにおいが強くなったり、生理直前には少量の血液が混じって茶色っぽくなったりします。

おりものの状態にも周期がありますので、自分のおりものの状態を観察することも、ゆらぎを掴むひとつの目安となります。

「ゆらぎ」のリズムを掴んで上手に付き合おう

「ゆらぎ」があるのは、生理がある女性にとっては自然なこと。女性ホルモンには不調を引き起こす困った面もありますが、一方で肌や髪をつややかに保ったり、骨や歯を丈夫にしたり、免疫力を上げて体を丈夫にするなど、さまざまな嬉しい役割もあります。

心身の不調が自分のせいではなく、女性ホルモンのゆらぎにより引き起こされているのなら、そうなる前に対策しておくこともできますし、不調になったときに「今はそういう時期」とやり過ごしやすくなりますね。

元気と不調の波と上手に付き合うために、まずは「ゆらぎ」のリズムを掴むことから始めてみませんか。

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