お風呂で3分「乳がん」セルフチェック! タイミングやポイントも紹介
今や9人に1人は生涯のうちに一度は罹患(りかん)すると言われている乳がん(※1)。乳がんは早期発見&治療により9割以上が根治可能とされていますが(※2)、この“早期発見”のポイントになるのが、自己検診と言われるセルフチェック。今回は、お風呂で3分でできるセルフチェックの仕方を紹介します!
- 監修医師
-
山田光泰先生産婦人科専門医。大学病院等で不妊治療を中心とした最先端の医療に従事しつつ、厚生労働医系技官として母子保健施策の推進にも携わってきた。現在は、女性のライフステージに応じたウェルネス向上をサポートすべく、テクノロジーを活用した課題解決にも取り組む。
定期検診に行っていれば、セルフチェックは不要?
病院での定期検査でも、100%乳がんを発見するのは難しいとされています。事実、乳がんに罹患した人の半数以上は「自分で気が付いた」というデータもあるほど(※3)。乳がんは早期発見・早期治療が大切だからこそ、セルフチェックを習慣化することが大切なんです!
セルフチェックのタイミングは?
生理から約1週間後、胸がやわらかくなったタイミングに行うのが正解◎。生理前は、女性ホルモンの影響で胸が張ったり、痛みが伴うので、しこりや変化に気づきにくい時期。『生理が終わったら、乳がんのセルフチェック』を合言葉に、月に1回は行いましょう! 閉経後の方は、毎月セルフチェック日を自分で決めて行ってくださいね。
セルフチェックを行う場所は?
おすすめはバスタイム。セルフチェックは「見る」と「触る」の2つがセットなので、脱衣所の鏡で乳房全体を「見て」、バスルームで「触る」とスムーズ。ボディソープで滑りやすくすることで、しこりが見つかりやすくなります。お風呂上がりにボディクリームを塗るタイミングでもOK。特にバストが大きい人は、横になって胸を広げることでチェックしやすくなります。この際も、クリームやオイルを使って滑りを良くしてから行います。
「見る」セルフチェック at 脱衣所
両方の乳房を比較することで、変化に気づきやすくなります。できるかぎり両方の胸が見えるような大きめの鏡でのチェックが◎。
① 着衣とブラを脱いだら、両方の乳房が見えるよう、鏡に向かって真正面に立ちます
Check!
✔ ブラの乳頭(乳首)があたっていた部分に、血液や分泌物の跡はない?② 腰に手を当てて胸をグッと張り、あごは引きます。その姿勢のまま、正面・左右から両方の乳房をチェック
Check!
✔ 乳頭のへこみ、ただれ、変形はない?
✔ 乳房の赤みや腫れ、オレンジの皮のような毛穴はない?③ 姿勢を戻したあと、両腕を頭の上で組むようにして上げ、正面・左右から両方の乳房をチェック
Check!
✔ 乳房のひきつれやくぼみはない?
✔ 乳頭のへこみ、ただれ、変形はない?
✔ 乳房の赤みや腫れ、オレンジの皮のような毛穴はない?④ 両方の乳頭を絞り出すようにつまみます。
Check!
✔ 血液や分泌物は出てない?「触る」セルフチェック at バスルーム
ここからの「触る」チェックは、右乳房と左乳房、片方ずつ行います。ボディソープや石けんで滑りをよくしてから始めてくださいね。また、バスルームでなく、ベッドや床に寝そべって行うこともできます。特にバストが大きい方は、寝そべって行いましょう。ボディクリームやオイルを使用するのがおすすめ。
⑤ 右腕を上げ、左手の人差し指・中指・薬指の3本指を右の乳房に添えます。
⑥ 指の腹を使って、10円玉程度の大きさで「の」の字を書くように、乳房をくまなく触ります。
※強さは、助骨を感じる程度でOK。痛みを感じるほど強くしないように注意しましょう。
Check!
✔ コリコリとしたしこりはない?
※初期は1〜2cm程度のものもあるので、見逃さないで!
✔ 「の」の字が書きにくい、こぶのような硬い部分はない?⑦ 同じ3本指で、脇の下のリンパから乳房に向かって、上→中→下と分けるように3回ほどなぞります
Check!
✔ リンパや乳房にグリグリとしたしこりはない?
✔ リンパの腫れはない?⑧ ⑤〜⑦を左乳房でも同様に行います(左腕を上げて、右手でチェック)
セルフチェックQ&AQ.「しこりは無いけど、触っていると胸が痛い」これは初期症状!?
A. 明らかなしこりが確認できなかったとしても、痛みを感じる場合には必ず病院で検査を受けましょう。Q. しこりを発見…。乳がん決定?
A. 全てのしこりが悪性の腫瘍(がん)とは限りません。注意したいのは、まるで石のように硬いものや、しこりを触ってもコロコロと動かずに皮膚にくっついている感触がするもの。まずは病院で精密検査を。セルフチェックで1つでも当てはまったら受診を!
セルフチェックは、毎月行うことで小さな変化にも気づきやすくなります。「あれ?なんかいつもと違うかも」と思ったら、すぐに乳腺(外)科を受診してくださいね。この際、検診ではなく「診察」で予約することを忘れずに。
参考文献
※1 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
※2 公益財団法人がん研究振興財団「がんの統計 2022」、日本医師会サイト「知っておきたい がん検診」
※3 日本乳癌学 全国乳がん患者登録調査2006年次症例