生理が終わらないのはなぜ? 長引く原因と治療法、病院を受診する目安

「生理(月経)がなかなか終わらない」「普段の生理と比較して長引いている」「周りの人と比較して自分は生理が長い」と感じると、なんだか不安になってしまいますよね。実際に、長引く生理は病気のサインである可能性もあるので注意が必要です。今回は生理の通常の長さと病院を受診する目安、生理が終わらない原因や受診する際のポイントなどを紹介します。
- 監修医師
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山田光泰先生産婦人科専門医。大学病院等で不妊治療を中心とした最先端の医療に従事しつつ、厚生労働医系技官として母子保健施策の推進にも携わってきた。現在は、女性のライフステージに応じたウェルネス向上をサポートすべく、テクノロジーを活用した課題解決にも取り組む。
8日経っても生理が終わらない・長引くときは要注意
正常な生理は3~7日間(※1)とされています。そのため、生理が8日経っても終わらない・長引いている場合は注意が必要です。
出血が8日以上続いて止まらない状態を、医学的には「過長月経」と呼んでいます。8日以上続く出血がどこまで長引くかは個人差があり、中には365日ナプキンが手放せない女性もいます。
過長月経の主な原因は、女性ホルモンの乱れです。普段の生理期間は安定しているのに、一時的に生理が長引く、またはなかなか終わらない場合は、生活習慣やストレスによってホルモンの分泌が乱れている可能性が考えられます。何か思い当たるものがあれば、それを改善していくことで生理の長さが元に戻るかもしれません。
生理が終わらない・長引くときに考えられる病気
生理が長引く原因として一番多いのは、ストレスや生活習慣によるホルモンの乱れですが、それ以外に、病気が原因による不正出血を「生理が長引いている」と誤認してしまっている可能性もあります。ここでは生理が終わらない・長引くときに考えられる主な病気を紹介します。
1. 黄体機能不全
本来は排卵後の卵巣内にできる黄体から分泌されるはずのホルモンが、何らかの理由でうまく分泌されず、子宮内膜の増殖・肥厚(ひこう)が不十分な状態を言います。その結果、生理周期が短縮されたり、不正出血が起こることがあります。これは、特に更年期や閉経が間近となっている人に多い傾向にあります。
<検査・診断方法>
・経腟超音波(エコー)検査
・血液検査(黄体中期の血中プロゲステロン値の判断) など<治療方法>
黄体機能不全の治療方法は、妊娠を希望するか否かで変わります。妊娠を希望する場合 ・内服薬や注射剤を使って、プロゲステロン(黄体ホルモン)を補う「ホルモン補充療法」を行う 妊娠を希望しない場合 ・基礎体温をつけた上で経過観察
・低用量ピルや漢方薬を使用する2. 子宮筋腫(きんしゅ)
子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍(しゅよう)のこと。発症するのは30代~閉経前後の女性が多いですが、10~20代でも見られる病気です。
子宮筋腫は、できてしまった場所によっては、生理のときに剥がれ落ちる子宮内膜の量が増えます。それによって出血量が多くなる、生理が長引く、レバーのような塊が出るといった症状が現れます。
<検査・診断方法>
筋腫の場所や状態を確認するため、次のような検査が行われます。
・内診
・超音波検査
・(必要に応じて)MRI検査 など<治療方法>
症状がなく、筋腫がそれほど大きくなければ経過観察となることが多いです。サイズが大きい、または症状によって日常生活に支障が出ている場合は、薬物治療や手術による摘出などが行われます。3. 子宮内膜・子宮頸管ポリープ
生理が終わらないときは、子宮内膜もしくは子宮頸管にポリープ(腫瘍)が発生していて、不正出血が起きている可能性もあります。
・子宮内膜ポリープ……子宮の内側に発生
・子宮頸管ポリープ……子宮の出口付近に発生どちらも良性であることがほとんどです。ただし、腫瘍が大きくなると不正出血が起こる、生理が長引く、妊娠しづらいといった症状が現れることがあります。
<検査・診断方法>
多くの場合は超音波検査により診断されます。子宮内膜ポリープだと確定診断するには、病理組織検査(摘出したものを顕微鏡で観察する検査)が必要です。<治療方法>
子宮内膜ポリープも子宮頸管ポリープも、腫瘍が小さく症状がない場合は経過観察となることが多いです。妊娠を希望する場合、もしくは症状の程度などによっては、医師と相談の上で摘出や治療が行われることもあります。4. 子宮に関係するがん
子宮体がんや子宮頸がんなど子宮に関係するがんになると、がんの部分から出血が起こることがあります。生理そのものは正常の期間の中で終わっていたけれど、がんの部分から出血をしていることによって生理が終わらない、だらだらと続いていると感じてしまうこともあります。
<検査方法>
●子宮頸がん
まずは細胞診をして、結果次第でハイリスクHPV検査や組織診を行います。組織診とは、子宮頸部を拡大しながら、異常に見える部分を一部採取し、顕微鏡で詳しく観察する検査です。●子宮体がん
子宮内膜の細胞診や組織診を行います。がんの広がりを確認するために、内診や直腸診を行うこともあります。あわせて読む生理が終わらない・長引くその他の原因
生理が終わらない、長引く原因は病気だけではありません。流産や、ピルの副作用の場合もあります。ここでは流産と、ピルの飲み始めによる副作用について紹介します。1. 流産
知らず知らずのうちに妊娠し、流産をしていた場合、出血がだらだらと続くことがあります。流産による出血が生理周期と被った場合は、生理による出血が続いていると勘違いしてしまう可能性もあります。
2. ピルを飲み始めたことによる不正出血
低用量ピルを飲み始めたばかりの頃は、不正出血が起こることも。しかし、ピルによる不正出血は飲み始めた約20〜30%の人に見られる(※2)など、決して珍しいことではありません。体がピルに慣れ始める、1~2カ月後には落ち着くことが多いので心配しなくて大丈夫です。
ただし、3カ月以上も毎月不正出血が続く場合は子宮頸がんなど他の原因があるかもしれないので、医師の診断を受けましょう。
あわせて読む生理が終わらないときは婦人科へ。受診前に知っておきたいポイント
なかなか終わらない生理や不正出血は体からのサインの場合もあるので、自己判断は危険です。特に、がんが原因であった場合は命に関わる危険性もあるため、早めに検査を受けましょう。ここでは生理が終わらない、長引いているときに病院を受診する際のポイントを紹介します。婦人科を受診する
初めに説明した通り、通常の生理期間は3~7日間とされているため、8日経っても生理が終わらない、または不正出血が続いている場合は婦人科を受診しましょう。治療をすることによって生理周期が改善されることも考えられます。
なお、婦人科は出血していても受診できますのでご安心してくださいね。
【婦人科を受診する際の服装】
ほとんどは内診台での検査があるので、次のような服装が◎
✔着脱が不要なスカート
✔脱ぎやすい靴問診で聞かれる内容
婦人科では以下のことを聞かれるので、あらかじめメモしておくと安心です。
<よく聞かれる内容>
・いつもの生理周期
・経血の色や量の変化
・基礎体温表の有無
・生理痛のつらさ
・いつもの生理と違う症状 など自分の生理周期を把握しておくと、婦人科の受診がスムーズになるだけでなく、PMS(月経前症候群)の把握や排卵日の予測ができるなどたくさんのメリットがあります。
あわせて読む生理が終わらないときは、婦人科を受診しよう
通常の生理は3~7日間とされるため、8日以上経っても終わらない場合は注意が必要です。ストレスや疲れ、病気など身体からのSOSサインかもしれません。「気づいたら終わっているから大丈夫」と思うのではなく、まずは婦人科を受診して医師に相談をしましょう。これからも長く付き合っていく自分の体を大切にしてくださいね。参考文献/サイト
※1 公益社団法人日本産婦人科医会「女性の健康Q&A」
※2 公益社団法人日本産婦人科医会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン」