避妊に失敗したかも。 考えられる原因や、対処法・アフターピルについて解説

性行為をする時は、正しく避妊をしなければ、予期せぬ妊娠につながってしまう可能性があります。そのためパートナーと共に正しい避妊方法を理解して、一緒に心がけることが大切。そこで本記事では、よくある避妊の失敗例を始め、避妊にまつわる誤った情報、また避妊に失敗してしまった場合の緊急対処法であるアフターピルについて紹介します。
- 教えてくれたのは…
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山田光泰先生産婦人科専門医。大学病院等で不妊治療を中心とした最先端の医療に従事しつつ、厚生労働医系技官として母子保健施策の推進にも携わってきた。現在は、女性のライフステージに応じたウェルネス向上をサポートすべく、テクノロジーを活用した課題解決にも取り組む。
避妊の失敗例
性行為をした後に、「もしかしたら避妊に失敗してしまったかも…」と不安になってしまったことはないでしょうか? 避妊は正しく行わなければ失敗してしまう可能性がありますが、正しい方法できちんと避妊できているカップルは、そこまで多くないでしょう。そこで避妊に失敗してしまう場合、どのような原因があるのか紹介します。
コンドームの脱落
性行為中にコンドームを使用していても、行為の途中で外れてしまったり、男性が性器を抜く時に腟内にコンドームが残ってしまったりすると、避妊失敗につながる可能性があります。男性の性器は性行為中に勃起し、射精後にはしぼみます。そのため男性の性器のサイズに合ったものを使用しないと、射精後にコンドームが外れて精液が漏れ出てしまう原因につながるのです。コンドームを購入する際には、サイズも確認して選ぶようにしましょう。コンドームに穴が空いていたり破れた
コンドームを包装から取り出す時に爪でひっかいてしまったり、誰が準備したものか分からないようなコンドームを使用すると、穴が空いていたりすることがあります。また古いコンドームは、劣化していて破れる可能性も。コンドームは自分達で準備をし、包装から取り出すときは破損しないように注意してくださいね。性行為の途中でコンドームを装着した
コンドームを射精時のみ使用するのも、避妊失敗の原因につながります。精液は射精時だけでなく、射精までの間も少しずつ性器から流れ出ています。(カウパー腺液:いわゆる我慢汁の中に精子が含まれる)そのためコンドームは射精直前ではなく、性行為を始めるときに装着しておくことが大切です。射精後にすぐに性器を抜かなかった
射精後すぐに腟内から性器を抜かずに、長時間挿入したままにしている場合も、コンドームから精液が漏れる原因になります。先述したように射精後は性器がしぼむため、長時間挿入したままにせず、性行為が終わったら腟内から抜くようにしましょう。低用量ピルの服用忘れ
避妊のために低用量ピルを服用している場合、飲み忘れによって妊娠してしまう可能性があります。ピルを飲み忘れてしまったときは、飲み忘れた日数やタイミングなどによって対処法が異なります。詳細は下の記事で紹介しているので、参考にしてくださいね。避妊に失敗する可能性アリ!? 避妊にまつわるウソ
インターネットや人から聞く話の中には、避妊にまつわる信憑(しんぴょう)性の低い話もあります。このような話を信じて間違った方法で避妊をしても、避妊できずに妊娠につながってしまう可能性があるでしょう。そこで避妊にまつわる間違った情報について、根拠とともに解説します。
コンドームを使わなくても腟外射精すれば大丈夫?
コンドームを使用していなくても、射精時に腟内から性器を外せば(つまり中に出さなければ)、妊娠しないと思っている人も少なくありません。 男性の性器からは、射精前でも微量の精液が漏れ出ています。そのため性行為時にコンドームを装着していなければ、例え腟外射精をしても妊娠してしまう可能性があるのです。ちなみに腟外射精による一般的な妊娠率は約22%とされています。安全日・生理日なら妊娠しない?
生理周期のなかでも妊娠しにくい時期を、安全日と呼ぶことがあります。安全日なら妊娠しないと思い、コンドームを装着しないと、予期せぬ妊娠につながってしまう場合も。生理周期は人によりさまざまで、規則的だと思っていても排卵日が予想日とずれていることも少なくありません。またストレスや環境の変化など些細なことで、生理周期やホルモンは変動しやすいもの。そのため安全日であったとしても、コンドームは装着するようにしましょう。 また安全日だけでなく、生理中であっても生理周期が乱れている可能性があり、絶対安心とは言い切れません。加えて生理中は普段よりも腟内がデリケートな状態になっており、傷がつきやすかったり細菌感染しやすくなったりすることも。生理中の性行為は、できるだけ控えた方が安心です。性行為後に腟内を洗い流せば大丈夫?
信憑性のないうわさの中には、性行為後にシャワーやトイレのウォシュレット機能を使って腟内洗浄すれば、精液を洗い流すことができるため妊娠しないというものもあります。しかし腟内に射精された精液はすぐに子宮に到達する上、完全に精液を洗い出すことはできません。そのため妊娠する可能性をゼロにすることはできないでしょう。また自分の指で腟内洗浄しながら精液をかきだそうとする行為も、おすすめできません。腟内に傷がついたり細菌感染を引き起こしたりする可能性があるので、行わないようにしてくださいね。避妊に失敗した場合の対処法
避妊しようとコンドームやピルを使用していても、意図せずに破れてしまったり、ピルを飲み忘れてしまったりする場合もあるでしょう。そのような時にはアフターピルと呼ばれる緊急避妊薬を服用することで、予期せぬ妊娠を防げる可能性があります。 アフターピルは、基本的に性交後72〜120時間以内に服用することにより、高い確率で妊娠を回避できるお薬です。できるだけ早く服用するほど、避妊できる確率は高くなります。アフターピルを服用すると、排卵を抑えたり、精子が子宮に着床しにくいように子宮内膜の状態を変化させたりします。 しかし人により生理周期の乱れや不正出血、吐き気などの副作用が出る可能性もあることも、知っておきましょう。