卵巣のう腫には四種類あるの?症状や治療法について

卵巣の病気の中でも診断される方の多い卵巣嚢腫。

今回は卵巣嚢腫がどんな病気であるのかを詳しくまとめました。

卵巣嚢腫ってどんな病気?種類があるの?

卵巣嚢腫とは、卵巣の内部に分泌物などが溜まって腫れることによって起こる良性の腫瘍のことを言います。卵巣嚢腫はたまっているものによって4種類に分類されます。

1つ目は皮様のう腫といい、毛髪や歯、脂肪などを含んだドロドロした塊が溜まって腫瘍を形成するものです。20~30代の女性に起こることが多いのですが、閉経後にがん化する可能性があります。

2つ目はチョコレートのう腫といい、子宮内にあるはずの子宮内膜が卵巣に発生して増殖を繰り返していくものです。この時に卵巣内にある子宮内膜や血液がチョコレートのように見えることからこのような名前が付きました。30~40代の方に多く、40代を過ぎるとがん化する可能性もあります。

3つ目は漿液性のう腫といい、卵巣から分泌されたさらさらとした液体が溜まってできる腫瘍です。卵巣嚢腫として起こる頻度が高く、10~30代の比較的若い女性に発生することが特徴です。

4つ目は粘液性のう腫で卵巣内に粘度の高い液体が溜まってできるものです。放置するとどんどん大きくなっていくことが特徴です。卵巣嚢腫の中でも閉経後の女性に多く見られます。

卵巣はもともと2~3cmぐらいの大きさですが、腫瘍によっては30cmを超える場合もあります。卵巣嚢腫の症状は、嚢腫そのものが小さい場合には無症状で経過します。嚢腫がある程度大きくなってくると下腹部の膨満感や下腹部の痛みが出てきます。さらに大きくなってくると周辺の臓器を卵巣嚢腫が圧迫してしまうため、頻尿になったり便秘になったりします。

卵巣嚢腫の原因については、現在のところあまりよくわかってはいませんが、女性ホルモンの影響が大きいと考えられています。特にチョコレート嚢腫は子宮内膜症が原因であり、子宮内膜症は女性ホルモンであるエストロゲンの影響があることから、そのように考えられています。

卵巣嚢腫の場合どんな治療をするの?

卵巣嚢腫はエコー検査やMRI検査で判断することが可能ですが、これらの検査では、卵巣嚢腫疑いという診断は下せるものの確定診断をすることはできません。

確定診断をするためには腫瘍を摘出することが必要となります。卵巣嚢腫の治療方法は手術で腫瘍を摘出することが一般的です。一昔前までは、開腹手術といい、お腹をすべて開いていましたが、医療技術が進み、近年では腹腔鏡下で手術を行うのが一般的です。腹腔鏡を使用するためお腹につく傷が小さくなります。そのため、術後の回復が早く入院期間が短くて済んだり、回復後も傷が目立ちにくかったり、早期に日常生活に戻れたり社会復帰をすることができます。ですが、悪性腫瘍の疑いが最初からある場合や、過去に開腹手術をしていて他の臓器と腫瘍が癒着している可能性があるという場合には、最初から開腹手術を行います。

女性には卵巣が2つあり、仮に1つ切除しても妊孕性は保たれることから、卵巣嚢腫のある卵巣を摘出してしまうという治療方法もありますが、妊娠可能な若い年齢に発症することが多いため、治療方法については医師とよく話し合うことが必要です

またチョコレート嚢腫の場合には、ホルモン療法といいGnRHアゴニストや、黄体ホルモン、低用量ピルなどを使用して嚢腫を小さくするという治療方法もあります。

卵巣嚢腫を放置するとどうなるの?

卵巣嚢腫を放置しても悪性でなければ命にすぐに直結する可能性は低いです。ですが、卵巣嚢腫がどんどん大きくなることによって2つの合併症を引き起こす可能性が考えられています。

1つは卵巣嚢腫茎捻転です。卵巣嚢腫茎捻転とは、子宮と卵巣のつながっている部分が卵巣の重みに耐えきれずにねじれてしまうものです。ねじれても自然に元に戻ることはあるものの、完全にねじれてしまうとその部分に血流が届かずに組織が壊死してしまいます。卵巣嚢腫茎捻転が起こると激しい痛みが引き起こされます。卵巣嚢腫が5~6㎝を超えると卵巣茎捻転を起こす可能性が高くなりますので、治療をすることが望ましいとしています。

もう1つは卵巣破裂です。卵巣嚢腫の中でもチョコレート嚢腫の場合は子宮内膜が増殖してどんどん内容物が溜まっていってしまうため破裂を起こす可能性があります。破裂を起こすと激しい痛みに加えてショック状態となることもあり、緊急手術が必要となります。

この状態になると命に関わる可能性も出てくるため、卵巣嚢腫と診断されたならば医師とよく話し合って早めに治療を受けることがおすすめです。

監修:クリニックフォアグループ医師

公開日:10月3日

参考文献

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