コンドームをつけていても妊娠することってある?

日本で最も普及している避妊方法である、男性用コンドーム。「コンドームをつけていれば100%避妊ができる」と安心していませんか?実は、コンドームをつけていても妊娠をすることはありえるんです。今回は、コンドームの役割について詳しく解説します。
- 教えてくれたのは…
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陣内理子先生産婦人科専門医、医学博士。久留米大学(2011年)、順天堂大学大学院卒業。大学病院及び関連施設に従事し、2016年より2年間ヨーテボリ大学留学。一般婦人科、不妊治療、周産期、無痛分娩。
コンドームをつけてセックスした場合の妊娠率は?
避妊の効果を表す計算方法として、『パール指数』というものがあります。これは100人の女性がある避妊法を1年間用いた場合に何人妊娠したかを表す数字です。
コンドームは装着の不備や破損などの失敗が起こりやすく、一般的な使用でのパール指数は13%。つまり、1年間でおよそ8人に1人がコンドームを使用したにもかかわらず妊娠してしまっているということになります。
主な避妊方法とパール指数
理想的な使用(%) 一般的な使用(%) コンドーム 2 13 低用量ピル 0.3 7 ミレーナ(IUS) 0.1〜0.3 0.1〜0.4 子宮内避妊具(IUD) 0.6 0.8 リズム法(基礎体温法) 0.4〜5 15 ※理想的な使用…その避妊法を正しく続けて使用しているにもかかわらず妊娠してしまった場合 ※一般的な使用…その避妊法を使用して妊娠してしまった場合
たとえコンドームの正しい使用方法を守っていた場合でも2%の人が妊娠したとの報告があり、低用量ピル(経口避妊薬)など他の避妊方法と比較しても失敗率が高くなっていることが分かります。
低用量ピルは毎日正しく飲み続けていれば、コンドームに比べてより確実な避妊効果が期待できます。ほかにも「子宮内避妊リング」と呼ばれるIUSやIUDも普及してきていますが、いずれも女性自身が主体となって実行できる避妊法です。それぞれのメリットやデメリットを把握した上で、自分に合った方法を選びましょう。
性感染症予防ができるのはコンドームだけ
ただし「低用量ピルを飲んでいるから」「避妊リングをつけているから」といってコンドームを使わずにセックスすると、 性病・性感染症の危険が高くなります。妊活を目的としている(かつ性感染症の検査が済んでいる)場合以外は、必ずコンドームを使用してください。
コンドームは、唯一の性感染症予防法としてとても大切です。コンドームで性感染症予防、低用量ピルで避妊の『デュアルプロテクション(二重の防御)』をおすすめします。
コンドームをつけていたのに避妊に失敗する理由
諸外国と比べ低用量ピルの普及率が低い日本では、コンドームが大半のカップルの避妊法となっています。しかし、なぜコンドームをつけていても妊娠してしまうことがあるのでしょうか。原因を大きく分けると2つになります。
コンドームの装着・外し方
頭ではコンドームの正しいつけ方を分かっていたつもりだったという人でも、以下のようなトラブルは珍しくありません。
☑︎精液だまり(コンドームの先端の細くなった部分)に溜まっている空気をしっかり抜かなかった
☑︎サイズが異なるコンドームを装着した
☑︎十分に勃起する前にコンドームを装着した
☑︎コンドームが腟内で取れていた
☑︎コンドームをしっかり下まで下ろして着けなかった
☑︎陰毛が絡まり、そこから精液が漏れた
☑︎コンドームの裏と表を間違えて装着し、精液が付着したまま付け直して挿入した
☑︎射精してからすぐに抜かなかったまた、性行為の途中からコンドームを使用した場合も、避妊失敗の原因となります。精子は射精の前に出る分泌物(いわゆる我慢汁)にも含まれているので、途中からコンドームを装着しても、十分な避妊効果や性感染症の予防は期待できません。必ず、行為の始めに装着するように心がけてください。
普段はコンドームについてあまり意識していない女性や、取り扱いに慣れているという男性も、今一度誤った使い方をしていないか確認しておきましょう。
コンドームの選び方や保管方法
日本のコンドームは非常に高品質で、世界中で使用されています。一般的にドラッグストアやコンビニで売っている有名メーカーのコンドームは、厚生労働省から認可を受けている医療機器として販売されているため、品質や安全性に優れていると言えるでしょう。
一方で、雑貨店などでジョークグッズとして販売されているものは、この限りではありません。コンドームとしての品質が劣るものや、実際にコンドームとして使用できないものもあるので注意が必要です。 安全なメーカーのコンドームだとしても、保管方法によってはゴムが劣化して破れやすくなっていることも。コンドームを持ち運ぶ際は、直射日光を避けつつプラスチックケースなどに入れることをおすすめします。
また、誰が用意したか分からないコンドームを使う場合、意図的に穴があけられている危険性もあります。極力、自分や信頼できるパートナーが購入したものを使用するようにしてください。
避妊に失敗した可能性があれば、アフターピルの処方を
コンドームをつけて性行為をしたけれど、射精された精液が腟の中に入ってしまったかもしれない…など、避妊に失敗した可能性がある場合は、緊急避妊薬(アフターピル)を服用しましょう。シャワーやウォシュレットで腟内を洗浄すると良い、という噂もありますが、事後の腟内洗浄に避妊効果はありません。
アフターピルは72時間以内に内服することが推奨されていますが、24時間以内であれば高い避妊率を得ることができ、できるだけ早く飲むことが重要です。万が一避妊に失敗してしまった時のために、クリニックフォアグループではオンライン診療でアフターピルの処方を行なっております。週末にも診療を行っているので、ぜひご活用ください。
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