排卵痛はいつまで続く? チクチクした痛みの原因と不調の対処法

生理でもないのにお腹の下がチクチクと痛む場合は、排卵日の前後に起こる排卵痛である可能性があります。排卵痛は健康な人でも起こりますが、病気が潜んでいる場合もあるので、痛みの特徴や症状などの変化を見逃さないようにしましょう。今回は排卵痛がなぜ起こるのか、その仕組みや痛みの原因、対処法を解説します。
- 監修医師
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山田光泰先生産婦人科専門医。大学病院等で不妊治療を中心とした最先端の医療に従事しつつ、厚生労働医系技官として母子保健施策の推進にも携わってきた。現在は、女性のライフステージに応じたウェルネス向上をサポートすべく、テクノロジーを活用した課題解決にも取り組む。
排卵痛はいつ起こる? 排卵日と生理周期の関係
排卵痛とは、排卵日もしくは排卵日の1~2日前後の排卵期に起こる痛みのことをいいます。排卵痛について理解するには、排卵日を含む生理周期を知ることも必要です。まずは排卵の仕組みと、生理周期について紹介していきます。排卵の仕組み
排卵は、脳にある脳下垂体から分泌される黄体形成ホルモンが、卵巣に指令を出すことによって起こります。卵巣の中で既に約20mmまで膨張していた卵胞(卵子を含む袋)が、この指令により卵巣表面の皮を破り、卵子が飛び出します。このとき、卵胞液と血液が卵子と共にお腹の中に流れ出して腹膜を刺激することで、痛みを感じるのです。
生理周期から見る排卵痛が起こるタイミング
人によって異なりますが、生理はおよそ25〜38日のサイクルで繰り返されています。このサイクルが生理周期と呼ばれるものです。生理周期には「卵胞期」「排卵期」「黄体期」という3つの期間があります。・卵胞期:卵巣(卵子+細胞)の中で卵胞が育つ時期
・排卵期:排卵される時期
・黄体期:排卵された後、子宮内に子宮内膜が成熟する時期。基礎体温が生理中や他の時期より高くなる排卵日は、低温期から高温期へ移行するタイミングです。基礎体温表をつけていると、排卵日にグラフが下がって、また上昇していくのが分かります。
そして、排卵日の前後に排卵痛が起こります。痛みが続くのは数時間程度、長くても1~2日以内におさまることがほとんどです。自分の生理周期を把握しておけば、排卵痛が起こるタイミングが予測できます。
排卵痛の主な症状と注意したい痛み
痛みの感じ方は個人差があるものの、排卵痛の症状には共通しているものが多いです。排卵痛は体に不調がない人にも起こりえるものですが、なかには注意したい痛みもあります。ここでは排卵痛の主な症状と、病気が潜んでいるかもしれない危険な痛みをチェックしていきましょう。排卵痛の主な症状
排卵痛の症状は、一般的に以下のようなケースが多く見受けられます。
<排卵痛の症状>
・腰の付近や子宮の左右が痛む、卵巣部分が張ったように痛む
・下腹部にチクチク、ズキズキとした痛みを感じる
・痛みによって性行為ができない稀に、排卵時の卵巣からの出血の勢いが強く、お腹の中で大量出血を起こしてしまうことがあります。痛み止めを飲んでもおさまらない、気分が悪い、ふらつくなどの症状がある場合、緊急の処置が必要となることがあるため、急いで病院を受診して下さい。
不妊治療中の人は薬の影響で排卵痛が強くなることも
不妊治療として、卵胞を育てる卵胞刺激ホルモンや排卵を促す排卵誘発剤を使用することがあります。その結果、卵胞が大きく育ったり、薬によって排卵を促されたりすることで、排卵痛が起こる(もしくは普段より強く感じる)ことも考えられます。排卵痛とそうでない痛みの違い
排卵痛は誰にでも起こる可能性があるものですが、なかには「排卵痛だと思っていたけれど、実は排卵痛ではなかった…」ということもあります。卵巣は2つあり、周期毎に左右のどちらか片方からランダムに排卵します。ですが、お腹の片側だけが毎回痛む場合は、排卵痛ではなく、子宮内膜症や卵巣のう腫などの可能性もあります。治療をせず放置しておくことで不妊症をもたらす恐れもあるので、まずは一度婦人科に相談しましょう。
生理痛に似た痛みから考えられる原因は、以下の記事で詳しく紹介しています。
排卵日近くに起こる、排卵痛以外の症状
排卵日近くに起こる身体の不調は、排卵痛だけではありません。排卵出血やおりものの増加などに悩まされている女性も多いのではないでしょうか。ここでは排卵日近くに起こる、排卵痛以外の主な症状を紹介します。排卵出血
排卵時に月経のような排卵出血が起こることも。生理以外のタイミングで起こる出血のため「病気の可能性があるかもしれない」と心配してしまうかもしれませんが、排卵による一時的な出血であり、病気ではありません。但し、量が多かったり長く続く場合は婦人科で相談しましょう。
おりものの増加
個人差はありますが、排卵日が近くなるとおりものの量が増加します。生卵の白身のように粘り気のあるおりものが3日以上続けて出ると、排卵日が近いサイン。一般的に、排卵日にはおりものの量が減少します。
ただし、血が混ざったような茶色をしている、生臭いニオイがするなど、おりものに変化があった場合は要注意。排卵日とは関係なく、感染症や子宮頸がんなどが潜んでいるかもしれません。
おりものがいつもと違うと感じた場合も、念のため婦人科を受診しましょう。
排卵痛・その他の不調を和らげる方法
排卵痛や心身の不調は、薬を飲むことである程度改善が期待できます。その他、人によっては体を温める、もしくは睡眠をしっかりとる方法が有効なこともあるので、試してみてはいかがでしょうか。ここでは、排卵日前後の不調を和らげたいときにおすすめの対策方法を紹介します。市販の鎮痛剤を服用する
いつもより排卵痛が強い、または痛みによって日常生活に支障が出る場合は、決して無理をしてはいけません。排卵痛がつらい場合は、市販の鎮痛剤(痛み止め)を服用して痛みを緩和する方法があります。鎮痛剤を飲んでいる周期に万が一妊娠したとしても、胎児にほとんど影響はないとされるので安心してくださいね。
ただし、鎮痛剤で痛みを緩和するのはあくまでも対症療法(表面化している症状を緩和させ、苦痛を和らげること)。つらい排卵痛に悩まされている場合は、一度医師に相談することをおすすめします。
低用量ピルを服用する
根本的に排卵痛を改善させる方法として、低用量ピルを服用して排卵をストップさせる選択肢もあります。排卵がなくなるため、排卵痛も起こりません。
また、低用量ピルの服用によって排卵をストップさせると、肌荒れの原因となるテストステロンの分泌が抑えられます。また、ホルモンの分泌量が整うため、PMSの緩和や生理前後のニキビ・肌荒れの改善にも期待できます。
低用量ピルは婦人科で処方してもらえるので、まずは相談してみてもいいかもしれません。
排卵痛が辛い時は、医師に相談を
排卵痛は、個人差はあれど誰にでも起こりえます。大切なのは、自身の生理周期を把握すること。周期を記録をすることで、排卵痛が起こるおおよそのタイミングを予測することができ、急な痛みに対しての不安が軽減されるだけでなく、薬を用意するなどの対策もできます。
また、毎月の排卵痛が辛い、排卵日前後の不調に悩んでいる場合は、医療のサポートで解決できることもあります。一人で抱え込まずに婦人科を受診してみてくださいね。