無排卵月経ってなに? その特徴や原因、放置するリスクも紹介

監修医師
陣内理子先生
陣内理子先生
産婦人科専門医、医学博士。久留米大学(2011年)、順天堂大学大学院卒業。大学病院及び関連施設に従事し、2016年より2年間ヨーテボリ大学留学。一般婦人科、不妊治療、周産期、無痛分娩。


無排卵月経(無排卵周期症)とは、月経のような出血はあるものの、実際には排卵が起きていない状態のこと。原因によっては特に問題のないものもありますが、過度なストレスや生活習慣、病気によるものもあります。その原因によっては、放置してしまうと妊娠しにくくなったり、別の病気になるリスクを上げてしまう可能性があります。そこで本記事では、無排卵月経について主な特徴や原因などについて紹介します。

その症状、無排卵月経? 主な特徴を紹介

肘をついて考え込む女性
無排卵月経は、生理のような出血に加え、以下のような特徴がある場合にその可能性があります。

<無排卵月経の特徴>
・月経周期は一定でないことが多く、月経日数も短かったり、長かったりする
・基礎体温を測定すると低温期と高温期の差がない
・月経周期に応じたおりものの変化が見られない
・特に避妊をしていないのに、1年以上妊娠していない

また、このような特徴が現れずに正常な月経と区別ができない場合もあるため、なかには無排卵月経を自覚していないケースも多いようです。

無排卵月経が起こるメカニズム


無排卵月経とは、月経時のような出血はあるものの排卵が起こっていない状態のことを指します。

通常の月経は、排卵が起こったあと、妊娠が成立しない場合に起こります。しかし、無排卵月経の場合には、排卵していないものの、途中まで発育した卵胞(卵子の元)によって分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモンとも言われる。女性ホルモンの一種)により、子宮内膜が厚くなります。その後、厚くなった子宮内膜が維持できずに剥がれ落ちることで、無排卵月経が起こるのです。

無排卵月経が起こる原因

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無排卵月経が起こる原因には、日々の過ごし方が関係する場合や病気が関係する場合などがあります。そこで、具体的にそれぞれの原因について紹介します。

過度なストレスや生活習慣の乱れ

通常の月経は、脳から分泌されるホルモンによって排卵が起こり、そのあとに始まります。しかし、過度なストレスがかかると脳機能に影響を及ぼしてホルモン分泌が低下して卵胞が育たなかったり、排卵が起こらなかったりします。このことにより、無排卵月経を引き起こすのです。

また、不規則な生活習慣もホルモン分泌の乱れを引き起こし、排卵に影響を与える可能性があります。排卵が起こるためにはホルモン分泌が正常に行われる必要がありますが、そのためには、睡眠や生活リズムなどに気を付けながら、規則的な生活を送ることが大切です。

行き過ぎたダイエットによる体重減少

無理なダイエットで急激に体重が減少するような場合も、ストレス時と同様にホルモンを分泌する脳の機能が乱れる場合があります。ダイエットによる体重減少の程度によっては、うまく卵胞が発育せずに、無排卵月経につながる場合があります。

激しいスポーツ

激しいスポーツが原因となって無排卵月経が引き起こされる場合もあります。これは、激しいトレーニングによるストレスとエネルギー不足が脳に影響するためです。また、この状態が長期に及ぶと、骨密度の低下を招き、疲労骨折などにもつながってしまう可能性があるため、競技生活にも支障をきたす可能性もあります。

思春期

ホルモンの分泌がまだ未熟な状態である思春期は、排卵がうまく起こらないことが多いです。

具体的には、最初の月経である初経(初潮)後1年以内は、その80%以上が無排卵月経と言われています。その後、数年かけて排卵周期が整い、規則的な月経周期となっていくため、その期間に月経不順がある場合でも通常は経過観察で問題が見られないことが多いようです。しかし、頻繁に月経がきたり、月経期間が長い場合には、治療を検討する場合もあります。

多のう胞性卵巣症候群(PCOS)

多のう胞性卵巣症候群は無排卵を代表する病気で、主に不妊などをきっかけに分かる事が多い病気です。脳からのホルモンや男性ホルモンの分泌過多などが原因で起こり、月経異常のほかにも、多毛や肥満といった症状が現れることもあります。

また、多のう胞性卵巣症候群は月経不順や不妊の原因につながるだけでなく、子宮内膜が厚くなる子宮内膜増殖症や子宮体がんの原因にもなりえることを知っておきましょう。

高プロラクチン血症、甲状腺機能低下症

これまで、排卵には脳からのホルモン分泌の指令が影響していると説明してきました。病気や飲み薬などの影響により、母乳分泌に関わるホルモンであるプロラクチンの値が高かったり、甲状腺の働きを行うホルモンに異常があったりする場合も、排卵に影響するホルモンに影響を与えるため、排卵障害につながります。この場合、これらの病気を治療することで、排卵障害の改善が期待できます。ただし、治療にも大きな影響を及ぼす可能性があるため、排卵障害の改善を希望する場合は、必ず医師に確認・相談をしましょう。

無排卵月経を放置したときのリスク

健康な子宮や妊活をハートで描いたイメージイ
無排卵月経の可能性があると感じたら、どうしたら良いのでしょうか? そのまま放置しておくと、他の病気を招いたり妊娠しにくくなってしまったりする可能性があるので注意が必要です。放置することのリスクについて理解し、早期受診をするように心がけましょう。

子宮体がんのリスクが高まる

先述の多のう胞性卵巣症候群(PCOS)などが原因となる場合、内膜増殖症や子宮体がんに至ることがあります。これは、過剰なエストロゲンの働きで子宮内膜は育ち続けるのに対し、不規則な月経により内膜のターンオーバーが起こらないためです。

骨密度の低下・骨粗しょう症になるリスクが高まる

無排卵月経は骨密度の低下を引き起こします。例えば過度なストレスや体重減少の場合、エストロゲンの分泌元となる卵胞が発育しません。エストロゲンは骨密度に重要な働きをしているため、十分な分泌がされないと骨密度の低下を招き、骨粗しょう症や疲労骨折へとつながるのです。

妊娠しにくくなってしまう

卵巣機能が徐々に衰え、妊娠しにくくなってしまう可能性があるのも無排卵月経を放置するリスクです。また、無排卵月経の原因が多のう胞性卵巣症候群等の場合、放置しておくと排卵誘発剤などが効きにくくなってしまうこともあります。

生理周期が突然変わったり、生理の期間が極端に増減したりなど、気になる症状がある場合には早めに産婦人科を受診してくださいね。

無排卵月経の可能性がある場合の対処法

診察する医師
もしも無排卵月経である可能性がある場合には、放置せずにまずは産婦人科を早めに受診しましょう。医師との問診や、必要に応じて検査(ホルモン値、超音波など)を行い、まずは原因を特定する必要があります。
また、その検査結果や妊娠を希望するかしないかによって、治療法が変わります。

無排卵月経の原因がストレスや生活習慣など病気以外の場合には、できるだけ改善できるよう普段の生活に気を付けるよう心がけましょう。

無排卵月経かも…と感じたら、早めに産婦人科を受診しよう

ハートを抱える女性
無排卵月経は病気が原因で起こることもありますが、ストレスや行き過ぎたダイエットなど、日常生活の過ごし方が関係して起こることもあります。普段の月経時のように出血は起こるため、無排卵月経であることに気付きにくい場合もあるようです。しかし、急に月経周期がこれまでと変わった、妊娠を希望しているのになかなか妊娠しない、などの場合は、無排卵月経である可能性が考えられます。気になる症状があれば産婦人科を早めに受診し、適切な治療や対処を受けるようにしましょう。

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