生理がこないのは妊娠以外の可能性も。生理不順の原因と病院を受診する目安を紹介

「毎月生理(月経)が遅れる」「今月だけまだ生理がこない」など、生理不順になると不安になってしまうもの。生理がこないのは妊娠の可能性もありますが、それ以外にも病気やストレスなどさまざまな原因が考えられます。今回は生理がこない時に考えられる代表的な原因と、病院を受診する目安と検査内容、周期を整える方法を紹介します。

監修医師
陣内理子先生
陣内理子先生
産婦人科専門医、医学博士。久留米大学(2011年)、順天堂大学大学院卒業。大学病院及び関連施設に従事し、2016年より2年間ヨーテボリ大学留学。一般婦人科、不妊治療、周産期、無痛分娩。

生理がこない時に考えられる主な原因

お腹にハートをつくる女性
​​生理の正常な周期日数は25~38日と定義されており、これに当てはまらないものは「生理不順」とされます。このうち、生理周期が39日以上カ月以内のものを「希発月経」、これまであった生理が3カ月以上停止したものを「続発性無月経」といいます。

月経不順の場合は、生活習慣、体重の増減、精神的ストレス、内服薬など原因は様々で、原因が特定されない場合も多くあります。考えられる原因の一部を、詳しく解説します。

1. 急激なダイエットや精神的ストレス

生理がこない原因として多いのが、急激なダイエットや精神的ストレスです。ダイエットによって体重が減った後に生理がこなくなることを「体重減少性無月経」と呼び、18歳以下の続発性無月経の44%が体重減少性無月経との報告もあります(※)。

また精神的ストレスによるものを「心因性無月経」と呼びます。進学や転職などの環境変化など、精神的ストレスが原因で生理が止まることは珍しくありません。

この「体重減少性無月経」と「心因性無月経」の2つが原因として混在するケースもあります。

体重減少性無月経の場合、生理を再開させるには、生活習慣を見直し、バランスの良い食事をとって健康的な体に戻すのが大切です。特にアスリートや激しい運動をしている人に起こりやすく、生理がこないだけではなく、エストロゲン不足により骨密度が下がるため、疲労骨折の危険性もあります。

まずは体重減少や精神的ストレスなど原因の解決をし、婦人科ではホルモン療法を併せて行う場合もあります。生理周期の回復までに時間がかかることもあるので、焦らず治療しましょう。

2. 妊娠

性交渉をしていて生理がこない時に忘れてはならないのが、妊娠の可能性です。コンドームは現時点で日本で最も普及した避妊方法ですが、避妊できる確率は100%ではありません。コンドームの装着方法や外し方、保管方法などによっては失敗する恐れもあります。

妊娠の可能性は市販の妊娠検査薬で調べられ、生理予定日を1週間過ぎたあたりから陽性反応が出ます。検査をした結果、陽性反応が出た場合は早めに婦人科を受診しましょう。

コンドームで避妊しているのに妊娠する可能性について、詳しくは以下の記事で紹介しています。

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3. 多のう胞性卵巣症候群(PCOS)

PCOSは女性の5〜8%に発症し(※)、生理不順や不妊の原因の1つです。肥満や、男性ホルモンが過剰となることでニキビなどを伴うことがあります。

超音波(エコー)検査では卵巣に小さな卵胞が多数見えるのが特徴です。PCOSの背景に肥満がある場合は減量することで生理周期が改善することもあります。

4. 内服薬によるプロラクチンの上昇

抗精神病薬、抗うつ薬など精神科の薬や消化器系の薬の一部は、生理不順をきたすことがあります。これらの薬はプロラクチンというホルモンを上昇させます。

プロラクチンは母乳を作るのに関与し、通常は授乳中に上昇しますが、これらの薬剤の内服中にも高値になることがあります。このプロラクチンの上昇により、体が産後のような状態になり、生理がこなくなります。生理不順の治療には、基本的には原因である薬剤の休薬あるいは変更ですが、長期的に内服している場合などですぐの休薬が難しいことも多いため、主治医と相談の上、減量や変更を検討します。

そのほか、初めての生理(初経)から20歳前半ごろまでは、生理に関わるホルモンの調節機構が未熟で生理不順をきたすことは多く、年齢とともに、月経周期は安定します。

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生理がこない時に病院を受診する目安と検査内容

町並みと病院、医療
生理は多少ずれるものなので、生理予定日から少し遅れるくらいなら心配はいりません。しかし、何らかの病気が隠れている可能性もあります。不安に感じたら放置せずに病院を受診しましょう。ここでは生理がこない時に病院を受診する目安と、主な検査内容を紹介します。

生理が3ヵ月こない時は婦人科を受診

治療が必要となる目安は、生理がこない期間が3ヵ月です。無月経を放置した場合、子宮体がんや、その前段階の「子宮内膜増殖症」になってしまうリスクが上がるため、3カ月に1回はホルモン療法で生理を起こさせ、子宮内膜の環境をリセットします。生理がこないことに慣れてしまっている人も、放置はせずに婦人科を受診しましょう。

血液検査や超音波検査を行う

婦人科では、問診の後、必要に応じて血液検査や超音波検査などを行い、生理がこない原因を探ります。

血液検査:ホルモンの値を確認する
超音波検査:病気の有無を確認するため、卵巣と子宮内膜の状態を調べる

検査の結果から原因が分かったら、適切な治療を受けて改善を目指します。問診では最近数カ月の生理周期の確認をされるので、アプリなどを利用して日頃からチェックしておくことをおすすめします。基礎体温を記録している場合は、併せて医師に見せてください。
また、超音波検査は内診台に座って受けるため、当日はスカートや脱ぎやすい靴を着用するとスムーズです。

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周期を整える低用量ピル

カーテンを開けて太陽の光を浴びる女性
生理不順の原因に心当たりがない、もしくは解決しても生理不順が続く場合、低用量ピルを服用することで症状を改善できます。低用量ピルを1日1錠継続して飲むことで、毎月決まったタイミングに生理(正確には「消退出血」と呼ぶ)がきます。

その他、避妊やPMS(月経前症候群)、生理痛の緩和、ニキビの改善など、ピルは女性に嬉しい効果がたくさん。病気はないのに頻繁に生理不順がある、「妊娠したかも…」と不安になることがある人は、生理が定期的にくる低用量ピルを選択肢の1つにしてみるのも手。ピルは婦人科で処方してもらえるので、気になる人は一度相談してみてくださいね。

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生理不順の不安は病院で払拭しよう

カウンセリングを受ける女性
生理不順は決して珍しいものではなく、多くの女性が経験しています。しかし、何らかの病気の可能性もあるので、放置せずに婦人科を受診しましょう。よく生理不順になる人も、「また生理がこない…」と不安にならないよう、今日からできることを始めてみませんか?

参考文献
※ 日本産婦人科学会 「産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編 2020」

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