低用量ピルによる血栓症リスクはどれ位あるの?正しく理解したい副作用について

低用量ピルの副作用である血栓症。命にかかわる可能性もある副作用のため心配という方も少なくないのではないでしょうか。

今回は、低用量ピルを今飲んでいて、血栓症のリスクが不安という方に向けて、低用量ピルと血栓症の関係について詳しく解説していきます。

血栓症って何?血栓症になるとどうなるの?

まずは、低用量ピルの副作用となる血栓症について詳しく解説していきます。

血栓症とは血栓ができたことによって血液の流れが悪くなるものをいいます。下肢にできることが多く、下肢にできた血栓による血栓症を深部静脈血栓症といいます。また、下肢にできた血栓が肺に移動してしまうことによって肺の血管を詰まらせる肺血栓症という病気になってしまうこともあります。

血栓によって血管が詰まってしまうと、詰まった先の臓器に血液が届かなくなるため、栄養などが供給されなくなります。そうするとその部位の臓器が正常に機能しなくなったり壊死してしまったりします。血栓症には動脈にできる動脈血栓症と、静脈にできる静脈血栓症に分類されます。低用量ピルの服用者は静脈血栓症となるリスクが高いとされています。

低用量ピルを服用すると、血液の中に含まれていて血液を固まりやすくするフィブリノゲン、プロトロンビンなどの量が増加します。その一方で、血液の中に含まれていて血液を固まりにくくするアンチトロンビンなどの量が減少します。これによって、血液が固まりやすくなってしまうため血栓ができやすくなるとしています。

血栓症になる人は何割ぐらいいる?血栓症になりやすい人とは?

低用量ピルの服用者で血栓症になる人は、1年間で1万人中3~9人程度とされています。低用量ピルを服用されていない女性が血栓症になる割合は1年間で1万人中1~5人程度とされているため、低用量ピルを服用していたほうが服用していない人よりは血栓症になる割合はわずかながら高いということが分かります。

ですが、血栓症は早期に適切な治療を行うことができれば命の危険にさらされることなく改善方向へと向かいます。また、血栓が肺にとんでしまい、肺血栓症を起こして亡くなってしまう方の割合は肺塞栓症を起こした方の中の1/100程度とされています。

低用量ピルを服用したことによって血栓症などに見舞われ、死亡される割合は年間に10万人中1人程度の割とされており、この割合は、転落事故や溺死といったその他の稀な事故と同程度であるとされています。そのため、血栓症のリスクは低用量ピルを服用されていない方よりは上がるものの過度に心配をされる必要はないといえるでしょう。

低用量ピルを服用した方の中でも特に血栓症になるリスクが高い方にはいくつかの特徴があります。まず、最も血栓症となるリスクを高めることが分かっているのが肥満、高齢、喫煙者の方です。肥満は特に血栓症発症に関係していて、BMIが上がってくるほどに血栓症となるリスクも高くなってきます。そもそも肥満の方は低用量ピルを服用していなくても血栓症となるリスクが高いのですが、先ほどもご紹介した低用量ピルの性質から、服用されている方はさらに血栓症となるリスクが高まるとされています。

年齢も同様に血栓症のリスクを低用量ピルを服用していなくても高める因子となっています。低用量ピルを服用されている方で行われた研究で、30~34歳と比較すると45歳以上では血栓症のリスクが約2倍にも増加することが分かっています。そのため、閉経が近い方の低用量ピルの服用は、この血栓症のリスクに特に注意する必要があるのです。

また喫煙については、現在喫煙をしていなくても過去に喫煙をしていたという場合も血栓症のリスクを高めることが分かっていて、低用量ピル服用者で喫煙経験のない方と比べると、過去に喫煙されていた方では約1.5倍程度リスクが上がるのですが、現在喫煙中の方の場合は約2倍以上血栓症のリスクが高くなることが分かっています。

ほかにも家族の中に血栓症になったことがある人がいるという方、ケガをしてギプスで固定をしているという方は、この条件に当てはまっていなくても血栓症になりやすい方となります。

特に初めて低用量ピルを服用したという方や、他の低用量ピルから切り替えた方、低用量ピルを1ヶ月以上中断して再開した方は服用開始から3ヶ月間は血栓症のリスクが高まることが分かっています。

前兆はどんな症状がある?

血栓症の前兆となる症状は、どこに血栓ができたかによって異なります。手足に血栓ができた場合には足の突然の痛みや腫れ、脱力や麻痺がみられます。胸部に血栓ができた場合には突然の息切れ、押しつぶされるような痛みが生じます。頭部に血栓が生じた場合には激しい頭痛に見舞われ、嘔吐することもあります。

ほかにも、舌がもつれてしゃべりにくくなったり、突然の視力障害が見られることがあります。特に激しい運動の後や真夏に水分補給をせずに長時間過ごした後などにこの症状が出てきた場合には血栓症となっている可能性が極めて高いといえます。

血栓症かもと思ったらどうすればいいの?

血栓症かもと思った場合には服用を中止し、速やかに低用量ピルを処方された医療機関を受診してください。またもしも、血栓症と思われる重度な症状が出ていて、処方された医療機関ではなく高度な医療機関に救急搬送などされることになった場合には、搬送先の病院で必ず低用量ピルを服用していることを伝えるようにしてください。

監修:クリニックフォアグループ医師

公開日:10月3日

参考文献

日本産科婦人科学会 ガイドライン https://pill-senpai.com/wp-content/uploads/2018/10/oc-lep-guidelines.pdf

株式会社バイヤー https://pharma-navi.bayer.jp/omr/online/bhv_others/140909_TRQ-14-1017.pdf

一般社団法人日本血栓止血学会 http://www.jsth.org/wordpress/wp-content/uploads/2015/05/%E8%A1%80%E6%A0%93%E7%97%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF.pdf

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