子宮外妊娠(異所性妊娠)ってなに?

妊娠検査薬で陽性反応が出ても出産に至ることが難しい妊娠があります。それが子宮外妊娠です。

子宮外妊娠とはどういう状態であるのかを詳しく解説していきます。

子宮外妊娠とは?どのくらいの確率で起こるの?

子宮外妊娠とは、言葉の通り子宮ではない場所に受精卵が着床することです。

卵管膨大部で受精をした受精卵はそのまま時間をかけてゆっくりと子宮内に降りてきて子宮内膜に着床するのですが、この子宮にまでたどり着く過程でほかの部分に受精卵が着床してしまった状態のことを言います。少し前までは子宮外妊娠と呼ばれていたのですが、2009年より異所性妊娠という用語に日本産婦人科学会で決定しているため、産婦人科などでは異所性妊娠といわれるかもしれません。

子宮外妊娠は全妊娠の1~2%に起こる可能性がある妊娠ですが、不妊治療後妊娠では3%、生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)後妊娠では4~5%にみられるとしています。卵管膨大部に着床する割合が最も多く、子宮外妊娠のうち90%程が卵管膨大部で着床をしています。他の部位にも着床する可能性があり、子宮に程千垣部分の卵管や子宮頸管、帝王切開後の傷跡に着床するということもあります。

子宮外妊娠となる原因として考えられている要因は2つあります。

1つは受精卵の移送障害です。受精卵が卵管から子宮内に移送される過程に何かしらの問題が起こっていることが原因として考えられています。例えば、クラミジア感染症は卵管から子宮内に移送する際の、調整に関わっている細胞を阻害することが考えられていますし、喫煙においては、卵管采による卵子の捕獲や卵管の蠕動運動や卵管内腔の繊毛運動を抑制してしまうため子宮外妊娠となってしまう可能性が高くなると考えられています。

もう1つは卵管内環境です。これは卵管が受精卵が早期に着床してしまう環境になってしまっていると考えられるもので、特に生殖補助医療の場合は、受精卵を移植した時期が子宮内膜の着床時期に合わず、卵管内出の着床につながっている可能性があると考えられています。

子宮外妊娠ではどんな症状が出る?診断方法は?

子宮外とはいえ、妊娠が成立しているめ通常の妊娠と同じような症状が出現します。基礎体温を測っている方では高温期が続きます。ですが、卵管などの弱い部分で妊娠が成立すると、妊娠が進行し受精卵が成長して大きくなっていくと共に腹痛やお腹が張った感じの症状が出てくるようになります。

子宮外妊娠の最も怖いことは、子宮外妊娠と気づかずに受精卵が成長を続けていくことで、卵管など着床した部位が破裂してしまうことです。破裂をするとお腹の中で大量出血が発生し、最悪の場合には出血性ショックで死亡してしまう可能性もあります。ですが、近年は妊娠検査薬の性能や経腟超音波の解析度が高くなっていることから症状が出現する前に子宮外妊娠を発見することができるようになりました。

生理予定日を過ぎても生理がこないという場合には妊娠検査薬で妊娠の有無を確認するかと思いますが、妊娠をしていると検査の結果で分かった場合にはなるべく早く医療機関を受診し、経膣超音波検査で胎嚢の位置を確認します。この時に子宮内に胎嚢が確認されれば子宮外妊娠の心配はありません。この検査で子宮内に胎嚢が見当たらないという場合には、子宮外妊娠の可能性も視野に入れておきます。通常胎嚢は妊娠4週後半から検出可能で、5週前半までにほぼ100%検出可能となっています。

また、子宮内に胎嚢が見つかったとしても、約1/30000の頻度ではありますが子宮内外同時妊娠という可能性もあります。特に普通妊娠の方よりも体外受精で妊娠をされた方はこの確率が上がるため、エコーでは周辺の組織についても確認をします。

子宮外妊娠では子どもを産むことができないの?

子宮外に妊娠をした場合には、先ほどもお話ししたように受精卵の成長に伴い着床をした部分の臓器が破裂する可能性があり、妊娠を継続することは不可能であるといえます。特に卵管部分に着床した受精卵については妊娠を継続することはかなり難しくなります。

帝王切開瘢痕部妊娠においては、妊娠が進むにつれて子宮の内側に向かって胎児が発育したことによって妊娠の継続や出産ができたという事例もありますが、子宮頚管妊娠においてはこういった事例もあまりありません。

子宮頚管妊娠も帝王切開瘢痕部妊娠も卵管ではなく子宮付近での妊娠のため継続可能なのではと思われるかもしれません。ですがこの両者は胎児が成長するにあたってそれぞれの部位で破裂を起こしてしまい、大量出血を起こす可能性も十分あり、それによって命の危険が伴います。また、命が助かったとしても子宮全摘出をしなければならず、以後、子どもをもうけることができなくなってしまいます。このため、この部位に着床しても子宮付近だから大丈夫なのではと考えず、妊娠の継続については、リスクを考慮して医師とよく相談することが必要です。

子宮外妊娠と分かったらどうするの?

子宮外妊娠をしていることが分かった時には4つの治療方法があります。

最も治療としてポピュラーなのが手術です。今後妊娠の希望がある場合には、卵管温存術といい子宮外妊娠をしてしまった部分のみを切り取って縫い合わせる手術を行います。ですが、子宮外妊娠の反復率は10〜15%とされているため、手術をしたとしてもまた子宮外妊娠をしてしまう可能性もあります。また、部位によってはこの手術ができないこともあります。部位的に手術が不可能な場合や今後妊娠を望まないという場合には卵管全てを摘出する手術を行います。

2つ目は薬物療法で抗がん剤の一種であるメトトレキサートを投薬するという方法です。

3つ目は、動脈塞栓術ですが、これは、子宮頚管妊娠と帝王切開瘢痕部妊娠の場合のみ適応となります。

4つ目は待機して自然に受精卵が吸収されるのを待つという方法ですが、これはhCGの値が低く、医師が待機しても問題ないと診断した場合にのみ行われます。

生理予定日を過ぎても生理がこないという場合には妊娠検査薬で妊娠の有無を確認するかと思いますが、妊娠をしていると検査の結果で分かった場合にはなるべく早く医療機関を受診し、経膣超音波検査で子宮外妊娠の有無を確認するようにしましょう。

監修:クリニックフォアグループ医師

公開日:9月25日

参考文献

日本産科婦人科学会 http://jsog.umin.ac.jp/66/handout/2_1Dr.ayabe.pdf

公益社団法人日本超音波医学会 https://www.jsum.or.jp/journals/28156

日本医事新報社 https://www.jmedj.co.jp/premium/treatment/2017/d210110/

奈良県立医科大学 http://www.naramed-u.ac.jp/~gyne/menu60-30.html

恩賜財団済生会 https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/ectopic_pregnancy/#:~:text=%E7%95%B0%E6%89%80%E6%80%A7%E5%A6%8A%E5%A8%A0%E3%81%A8,95%EF%BC%85%E3%82%92%E5%8D%A0%E3%82%81%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

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